外科

診療科の特色

外科のスタッフは4名で、外科専門医・指導医、消化器外科専門医・指導医、消化器病専門医・指導医、肝胆膵外科高度技能専門医、内視鏡外科技術認定医などの資格を持ち、消化器疾患の外科診療を中心に乳腺疾患、外傷、急性腹症などにも対応しています。

胃がん、大腸がん、胆石症、ヘルニア(脱腸)、肛門疾患、虫垂炎などの手術に関しては、患者さんにとって体の負担が少なく、手術後の障害も少ない手術を目指しております。鼠径ヘルニア、胆石症、肛門疾患では受診から概ね1~3週間で手術が可能で、短期間の入院で早く社会復帰できるよう心がけています。

当院は、かかりつけ医や関連施設と連携して治療を行っています。当科での治療が一段落した後は、お近くの診療所、かかりつけ医での治療、投薬を継続していただきます。継続的な通院が必要な患者さんは、かかりつけ医と同時に当科も定期的に受診していただきます。

外来日は月~金曜日の毎日で、午前中だけでなく、午後も開いており、新患も随時受け付けています。

胃がん

胃は食道から続く袋状の臓器で、食物を貯留して消化します。胃がんは内側の粘膜から発生し、進行すると大きくなり、周囲のリンパ節転移、腹膜などの遠隔転移をきたします。検診などで早期に発見されることもありますが、進行がんで発見されることも少なくありません。治療は胃がん治療ガイドラインに準じて患者さんと相談して決めておりますが、内視鏡(胃カメラ)治療に関しては消化器内科が担当しております。手術が必要な胃がんには開腹手術だけではなく腹腔鏡下手術もおこなっております。腹腔鏡下手術は腹部の小さい傷5~6か所で行う手術で、小さい傷から手術用のカメラ、手術器具を挿入して、カメラで映った画像を見ながら手術を行います。小さい傷でできるので術後疼痛が少なく、回復が早いというメリットがありますが、直接臓器を触われない、手術時間が長くなるなどのデメリットもありますので、患者さんと相談し、希望も取り入れながら治療方針を決めております。

大腸がん

現在、日本人に一番多いがんは大腸がんです(男性2位、女性3位)。大腸がんの診断には内視鏡(大腸カメラ)検査が必要ですが、準備など負担が大きいため、検診では便を調べます。便に含まれるわずかな血液を検出することで、内視鏡検査の必要な人を割り出します。

便検査で精密検査が必要と判断されたら、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。精密検査不要となるまで、繰り返し便検査を受けても安心にはなりません。大腸がんも早期に発見出来れば、内視鏡治療が可能です。内視鏡治療が難しい場合は手術が必要ですが、多くは小さな傷の腹腔鏡下手術が可能です。肛門に近い大腸がん(直腸がん)の場合、以前は永久的な人工肛門(ストーマと言います)が造られていましたが、肛門を残して排便出来るように、手術法が工夫されてきました。

ヘルニア

ヘルニアとは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から脱出した状態です。外科で診療の対象となるヘルニアには、そけいヘルニア、腹壁ヘルニアなどがあります。これらのうち、最も多いのがそけいヘルニアで、一般に「脱腸」と呼ばれています。足の付け根が膨らんで、次第に大きくなって重苦しい感じを伴うようになります。戻らなくなることもあり、緊急手術や腸の切除が必要になる場合があります。薬物療法などで自然に治ることはなく、治療には手術が必要になります。膨らみがはっきりしたヘルニアの診断は簡単ですが、小さなヘルニアでは診断が難しいこともあります。足の付け根にふくらみや重苦しさを感じているようでしたら、ご相談ください。

急性虫垂炎

通称「モウチョウ」と呼ばれる虫垂炎ですが、非常にポピュラーな病気で多くの方が経験されているとおもいます。最初はみぞおちが痛くなり、次第に右下腹部に移って痛みが増強し、吐き気、嘔吐も伴います。抗生剤で良くなる場合もありますが、良くならない場合や重症の場合には手術が必要です。軽症であれば3~5日で退院可能となります。腹腔鏡下手術は早い時期に仕事や学業に復帰することが可能となります。

胆石症

消化液の一種である胆汁は、肝臓でつくられます。肝臓から胆管を通って十二指腸に流れますが、その途中に枝分かれした胆嚢があり、一旦ここに貯められるようになっています。胆石は、この胆汁の通り道である胆嚢や胆管、肝臓のなかにできる石で、炎症を起こすと右上腹部の痛みや発熱を伴うようになります。また、右側の背中や肩の痛みを伴うこともあります。このうち胆嚢に胆石が出来るケースが最も多く、腹腔鏡で胆嚢を摘出する手術が標準的な治療です。通常、数日間の短期入院で治療可能です。

肛門疾患

いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔瘻を三大肛門疾患と呼びますが、その他に直腸脱、直腸粘膜脱が高齢化社会の到来とともに増えつつあります。症状は、出血、痛み、しこりの飛び出し、肛門や肛門の周りの腫れ、肛門周りからの膿の排出、排便困難などです。最も多い痔核に対しては、薬物療法(軟膏、坐薬、内服薬)を中心とした治療をまず行いますが、効果が不十分な場合や飛び出しに対しては、各種の手術治療が必要となります。出血の原因が大腸がんであったり、飛び出しているのが痔核ではなく直腸であったりしますが、診察や簡単な検査でほとんどが診断できます。我慢せずに来院されるようお願いします。

乳がん

乳がんは、女性では最も多いがんで、他のがんに比べて若い世代の方にも多いです。当院ではデジタルマンモグラフィーの他、エラストグラフィー(固さを判定できる機能)超音波検査、MRI検査を駆使して精密検査を行い、乳がんの早期発見を目指しています。手術、化学療法などの関しては連携施設に紹介して行っております。

外来薬物療法

がん治療では、再発予防や病気の進行を遅らせるために薬物療法(抗がん剤治療)を行うことがあります。当院では、外来通院で薬物療法が受けられるように「外来療法室」を設置し、がん化学療法認定看護師が常駐しております。吐き気、嘔吐、疲労感などの抗がん剤の副作用は、薬剤の使い方の工夫やさまざまなサポートにより、以前に比べるとかなり軽くなってきています。多くの方が仕事や家庭での日常生活を続けながら外来治療を続けており、入院する場合も数日間ですみます。抗がん剤によっては脱毛や皮膚の障害などの外見上の変化を伴う副作用がありますが、認定看護師が相談に応じます。

手術件数の推移

手術件数の推移
2021 2022 2023
胃切除術 14(10) 9(4) 4(4)
結腸、直腸切除術 34(31) 43(33) 43(35)
胆嚢摘出術 61(61) 62(62) 49(49)
鼠径部ヘルニア 77(37) 62(27) 66(43)
虫垂切除 25(25) 16(16) 25(25)
肛門疾患 35 51 69
乳がん 30 20 12
その他 48 61 40
324 324 308

※1 括弧内は腹腔鏡手術

※2 その他 人工肛門造設・閉鎖、小腸切除、腸閉塞手術、審査腹腔鏡、直腸固定術など

便失禁、排便障害の患者さんの受入中止のお知らせ

外科の火曜日の肛門失禁外来では、便失禁、排便障害の患者さんの診療を行って参りましたが、担当医師の退職に伴い、診療を令和6年3月末日で中止することになりました。
また、外来への新患紹介につきましても12月末日で終了しておりますので、よろしくお願いいたします。

スタッフ紹介

部長

  • 岡田 恭穂おかだ たかほ
  • 診療で大事にしていること患者さんの意見に特に耳を傾け、寄り添える治療を提供できるか否か。

医師

  • 大石 英和おおいし ひでかず

医師

  • 佐藤 純さとう じゅん
  • 診療で大事にしていること患者の希望に沿った診療を行うこと

医師

  • 谷口 肇たにぐち はじめ

医師

  • 角川 陽一郎かくがわ よういちろう
  • 診療で大事にしていること最新の情報をもとに、患者さんによりそった診療を行うこと