整形外科は四肢の関節や脊椎に生じる病気の診断と治療を行う科です。
現在、整形外科は、8名の医師で診療を行っています。7名が整形外科専門医で1名が専門医をとるための専攻医です。仙台市内の病院の整形外科は、専門領域を分けて担当し、当科では主に股関節・膝関節・足部の疾患・外傷・スポーツ障害を担当しており、小児から成人・高齢者まで幅広く診療しています。
変形性股関節症や大腿骨頭壊死などに対して最小侵襲手術の人工股関節全置換術を行っています。術後の回復も早く、脱臼のリスクを非常に低くすることで、術後の動作制限を極力行っていません。人工関節センターを併設し多くのご紹介をいただいています。青壮年期の寛骨臼形成不全、若年者の大腿骨頭壊死に対しては、自分の関節を温存する骨切り手術も行っています。大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)、股関節唇損傷に対する股関節鏡視下手術を行っています。また、乳児期、幼児期、学童期の股関節痛の診察・検査、小児の股関節脱臼の検診なども行っています。
スポーツ障害・外傷に対しては関節鏡を利用した外科的治療を行っています。関節鏡視下手術では、主にスポーツによって生じる前十字靭帯損傷に対する靭帯再建手術や半月板損傷に対する縫合術を行っています。軟骨損傷や軽度の変形性膝関節症に対しては自家培養軟骨移植や高位脛骨骨切り術を行います。高度な変形を伴う関節症に対しては人工膝関節置換術を行っています。人工膝関節置換術では高精度のナビゲーションシステムやロボット手術支援も導入して、より小さな侵襲で人工関節を正確に設置しています。
スポーツ障害・外傷に関節鏡を使用した手術治療を行っています。足関節捻挫(靭帯損傷)後で足関節にゆるみが認められれば、関節鏡視下に靭帯を縫合しています。縫合できる靭帯が残っていない場合には、皮膚を切開して自家腱(自分の組織)で靭帯を再建しています。変形性足関節症は、保存治療で症状の改善が得られない場合に手術治療が選択されます。関節温存手術として関節鏡視下滑膜切除(関節内の掃除)や下腿骨骨切り術があり、変形が進んでしまった関節症には関節固定術や人工足関節置換術を行います。外反母趾は、まず装具や足底板を用いた保存治療を行いますが、変形が高度の場合や保存治療で改善が得られない場合は変形矯正手術を行っています。
地域で発生した外傷・骨折に対する治療及び高齢化社会に伴い、骨粗鬆症の検査・治療を行っています。地域で生じた高齢者の骨折を受け入れて、骨粗鬆症が未治療の場合は当院リエゾンチームを中心に骨粗鬆症の治療を行っています。
2023年度の診療実績では、手術件数(全麻、腰/硬膜外)は987件でした。2019年10月に人工関節センターを開設し、2021年度は人工股関節置換術が362件、人工膝関節置換術が84件でした。当科では、それぞれの医師が研鑽を積みながら、各自の専門性を生かし、日々診療を行っています。