皮膚疾患は目に見えること、また、かゆみというご本人以外にはわかりにくく、他臓器の疾患にはない症状を伴うことが多いということが大きな特徴です。多くの疾患で外用剤が診療の中心的な役割を担いますので、外用剤を塗るという行為が必要です。
皮膚は、体の表面を覆うただの薄い膜のように感じられますが、人間の体を守る最前線、免疫にかかわる器官で、非常に複雑な働きをしています。同じように見える皮膚症状も、多様な免疫異常が関係しており、さらに内臓の異常によって皮膚症状が出ている場合もあります。
原因がわからない、なかなか治らないなど治療が長期になることもあります。治療の継続には、治療させていただく側と治療を受けられる方が、一緒にやっていくという意識が大切なのではないかと思います。
わたしたちは、できるだけ多くの情報や、その時の皮膚の状態を共有し、安心して治療をうけていただけるようにしたいと考えています。
アレルギー疾患全般(アトピー性皮膚炎蕁麻疹薬疹金属アレルギーなど)
炎症性角化症(乾癬など)
水疱症
脱毛症
感染症(蜂窩織炎帯状疱疹真菌症など)
下肢静脈疾患による皮疹
爪疾患(陥入爪など)
皮膚腫瘍
熱傷
治療薬がここ数年で大きく変化し、新しい注射、内服薬が使用可能です。特に中等から重症の方の治療にこれまで以上の効果が期待できます。
また当科では病院であることの利点を生かして、皮疹の悪化で生活に支障がある場合など、環境を変える目的で、一時避難的な入院もおこなっています。
注射薬、内服薬の選択肢がさらにひろがっています。関節痛に対しても効果のある薬剤があります。
歩行に影響する爪、鶏眼、胼胝の手入れや治療、下肢循環障害に関連する皮膚症状の治療を行っています。
糖尿病の方の足病変や血流障害の有無についてのチェック、下肢のむくみで、適応があると考えられる方に対しては、弾性ストッキングや弾力包帯などを用いて症状の改善をはかっています。
光線療法を行っています。
手術件数は年間約200件、良性、悪性腫瘍の切除、熱傷や皮膚潰瘍の植皮などを行っています。
皮膚は組織検査をしやすいという利点があります。積極的に組織検査をおこない、皮膚腫瘍の確定診断をはじめ、皮膚疾患の原因の精査や全身疾患発見の手がかりがないか検討しています。
アレルギーに関して、保険適応のコンポーネントを含めた抗IgE抗体検査、食物のプリックテスト、個別のアレルゲンや薬剤、金属のパッチテストを行っています。
足は人間の体を支える大事な部分です。足をケアするというフットケアの大切さが近年クローズアップされています。爪を良い状態に保つということは、フットケアの大きな目的の一つです。
皮膚科では、フットケア研修を受けた看護師による爪切り外来を2023年7月に開設しました。手が届かない、目が見えないなど、ご自分で爪を切れない場合には、まず皮膚科の通常外来を受診して頂き、医師の診察の際に爪切りについてご相談下さい。