平成28年4月現在(外来担当医表は毎月更新)

外科 小林 照忠

大腸がん―当科での治療のご紹介―

 大腸は、肛門から15〜20cmくらいまでの部分を直腸、それ以外の部分を結腸といいます(図1)。

図1

 

大腸がんは、できた場所によって直腸がんと結腸がんに分けられます。大腸がんは次第に増加しており、年間約4万5千人が亡くなられています(図2)。

図1

 

大腸がんの検査と診断

大腸がんに特有の症状はなく、がんが小さいうちはあまり症状もありません。そこで、早期発見・早期治療のために大腸がん検診が行われます。大腸がん検診では便潜血検査を行い、便の中に混じった血液を調べます。検査の結果が「陽性」の場合には、必ず精密検査を受けましょう。

精密検査では大腸内視鏡検査が行われます。大腸のポリープはほとんどが良性ですが、大きくなると一部ががんに変化してきます。ポリープの一部を採って組織検査(生検)を行い、がん細胞が見つかると大腸がんと診断されます。

 

大腸がんの治療

大腸がん治療の基本は手術でがんを切除することですが、がんの病期(=進み具合)によって治療法が決まります。大腸がんの病期は、@大腸の壁の中での広がり(=壁深達度)、Aリンパ節への転移、B肝臓や肺などへの転移(=遠隔転移)、の組み合わせで決まり、0期からIV期に分けられます。

がんが小さく、大腸の壁への広がりがわずかであれば、内視鏡での治療が可能です(0期、T期の一部)。
これよりも進んでいる場合は、リンパ節へ転移していることがあるので、腸の切除とリンパ節郭清(転移の可能性が高いがんの周囲のリンパ節を取り除くこと)を行います。

遠隔転移のあるIV期では、大腸がんと転移の広がりによって対応が異なります。手術で切除することが難しい場合は、抗がん剤治療(=化学療法)を中心に、放射線治療、手術を組み合わせて治療します。

 

手術の方法

大腸がんの手術方法は、がんの病期とできた場所で決まります。通常の手術では、リンパ節郭清を行うために、がんを中心に余裕をもって大腸を切除します。その後、残った腸をつなぎ直します。肛門に近い直腸がんでは、ストマ(=人工肛門)を造りますが、以前に比べると肛門を残して排便機能を維持する手術が増えています。

手術のやり方には、お腹を大きく開いて行う開腹手術と、小さな孔をお腹にいくつか開けて行う内視鏡(腹腔鏡)下手術があります。当科では20年ほど前から腹腔鏡下手術を行っています(図3)。

図2

 

お腹の中から腸を取り出す時に5〜8cmの傷が必要ですが、従来の開腹手術よりは小さいので痛みが少なく、体に対する負担も軽いと考えられています。

 

手術後について

手術でがんを切除しても再発することがあり、病期が進んでいるほど再発のリスクは高くなります。III期の結腸がんについては、術後に抗がん剤治療を行うと再発予防効果があります。直腸がんやII期の結腸がんに対しても、術後に抗がん剤を行うことがあります。

再発は、手術後3年以内に多く、ほとんどが5年以内に見つかります。そこで、手術が終わって退院した後も、5年間を目安に定期的に検査を行います。

大腸がんに対する抗がん剤治療の進歩は目覚しく、再発や転移に対して延命効果があります。主に外来で専門資格をもった看護師が治療を行います。

大腸がんの再発や転移に対して、痛みなどのがんによる症状を和らげる治療を行うことがあり、緩和医療といわれます。当院に緩和病棟はありませんが、外来での治療が難しい患者さんは、入院して緩和治療を受けることもできます。

当科では手術だけでなく、退院後の外来通院、抗がん剤治療、緩和治療まで責任を持って担当しております。

このページの上部へ移動
©2007 The Japanese Red CrossLanguage Service Volunteers Web Services.