診療科から(デング熱やジカ熱などの蚊媒介感染症)

呼吸器内科部長 三木 誠

蚊媒介感染症

蚊が感染のなかだちをする蚊媒介感染症のデング熱やジカ熱は、発熱と全身の発疹を呈する感染症です。いずれもアフリカが起源ですが、近年では、アジア、中南米を中心に流行しています。日本における媒介蚊のヒトスジシマカは本州(青森県以南)から四国、九州、沖縄まで広く生息し、主に5月中旬~10月下旬(南西諸島の活動期間はこれよりも長い)に活動して、冬季には成虫は存在しません。

デング熱

デング熱はフラビウイルス科フラビウイルス属のデングウイルスによって起こる熱性疾患で、年間1億人近くの患者が発生しています。以前は、これらの地域への渡航者がデング熱に感染して帰国するケースがありましたが、2014年8月には海外渡航歴のないデング熱症例が国内において多く発生しました。感染源となる蚊はデングウイルス感染者の血液を吸血することでウイルスを保有し、この蚊が他の人を吸血する際に感染させます。人から人へは直接感染することはありません。
症状は、発熱、皮膚紅潮・点状出血・麻疹様紅斑などの皮疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐です。比較的軽症のデング熱と顕著な血小板減少と血管透過性亢進(血漿漏出)を伴うデング出血熱があります。発症すると通常は1週間前後の経過で回復しますが、一部の患者がデング出血熱になり、さらにショックを伴うデングショック症候群に至ります。重症者の死亡率は10~20%に達しますが、治療を適切に行えば1%未満に減少させることができるので、早めに医療機関を受診することをお薦めします。

ジカ熱

フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスに感染することによりおこる感染症で、軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。ほとんどの人が軽症で治るため命にかかわることは少ないのですが、妊娠中の女性が感染すると胎児にも感染して小頭症となるため、注意が必要です。日本国内で感染した症例はまだありませんが、海外の流行地で感染し発症した方が10人います。最近では、平成28年6月9日に中南米の流行地域への滞在歴がある大阪府在住30代男性が発病しました。流行地であるブラジルで今年はオリンピックが開催されるため、渡航者が感染し日本で流行してしまうことが心配されています。

デング熱やジカ熱に対する予防・対策

いずれも有効なワクチンが存在しないため、蚊に刺されないようにする唯一の予防策です。もしも蚊にさされて発熱した場合には、早めに病院を受診しましょう。

デング熱・ジカ熱を疑う症状で受診される際のお願い
○海外渡航歴がある方

○海外渡航歴が無い方

○長袖、長ズボンを着用するなど、蚊に刺されないようご注意ください。