医療集談会

第129回仙台日赤医療集談会<6月26日>

「福島原発事故による放射線被曝  何が起きたか、何をすべきだったか」

医師  岡山 博

 2011年3月11日、大震災と津波を契機に配管損傷や原子炉冷却不能、爆発、ベントによる放出など膨大な放射正物質放出が繰り返し起きた。

 3月11日にはメルトダウンが始まり、3月23日、1号機原子炉本体の温度も内圧も耐用限界を超え、原子炉本体が爆発しうる状況だったが数週間以上公表されなかった。この時期に行うべきだった被曝対策は①高度汚染の可能性がある地域からの避難②汚染の状況と風向きなどを天気予報で知らせる③被災者に安全な水、食料を届け、汚染飲食禁止である。

 政府と行政は20km以内は避難を指示したが20km以遠は家に留まれと自主避難を抑制した。事故が拡大するたびに「直ちに影響はない。原子炉は健全に保たれている」と説明指示した。「放射能より心配するほうが有害だ」「マスク不安を煽る」という説明や講演会を行った。厚労省はセシウム500ベクレル/kgの食品暫定基準をきめた。健康被害を回避するため原発や事業所では100 ベクレル/kg以上は通常ゴミとしての処分を禁止さている量である。有毒であるが一時的にやむを得ない食品放射線暫定基準を「基準以内は安全だ」給食でも「地産地消。食べない勝手は許さない。残さず食べる給食教育」を指示し、「放射能に注意しよう」との教師発言を禁止した。
 消費者が避けた汚染食品は「国産」など曖昧な生産地表示にして産地をわからなくしたり、加工食品の素材にして消費させ、学校給食で強制的に消費させ、天気予報は放射能に触れず現在に至っている。

 被曝障害を避けるため放射性物質処理は法令で厳重に規制されている。原発事故による汚染が膨大で法令の処理は不可能になり、福島原発事故出でた放射性物質処理は特例として、8,000ベクレル/kg未満は通常ゴミと同様に埋立処分をおこなっている。
国際原子力機関は世界の医学論文を検討して統計的に有意と結論していない論文は論文が存在しないものとして扱って「チェルノブイリ事故の低線量被曝による健康へ影響は、若年者甲状腺がんだけが確定できた」と報告した。これに対しウクライナ政府や欧米の多数の研究機関が過小評価だと批判している。日本政府はこの報告を「甲状腺がん以外は健康影響は存在しないと確定している」と読み替えて使い「もし健康問題が出たら精神ストレスによるものだから「精神ストレスを減らすこと」が政府・行政がすべきことだとして対応している。「ありえない健康被害」を話題にするのは不安をあおる悪質な行為とされて、会議や個人間でもメディアでも自由に安心して話題にすることができなくなっている。発言の自由と安全がない社会運営が原発事故を起こし、事故後は被曝を拡大させている。

 被曝を避けるためにも原発事故を合理的に処理するためにも、一人ひとりが他人に依らず自分で考え発言し、自由に安心して発言や議論ができ、偽りや恫喝がない健全な社会、誠実な人間関係を作ることが大切と私は考えています。