診療科から

放射線科部長 岡田 秀人

 

 4月を迎え桜と花見と黄砂と花粉の季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。マー君がいなくても東北楽天ゴールデンイーグルスは今年もやってくれるだろうと願いつつ、仙台日赤放射線科の近況、CT、MRの状況をご紹介致します。

 昨年11月に歯科の撮影機器が更新され、歯科用X線撮影、パノラマ撮影(顎と歯の全体像を観察できる撮影)がデジタル化されました。これにより当院放射線科関連の医療機器は一般撮影からCT、MRまですべてがデジタル画像となり、サーバーに半永久的に保存できるようになりました。

 当院のCT装置はシーメンス社Definition AS+(128列)で、年間約1万件の検査を行っております。128列以上の多列CTは現在宮城県で7施設しかなく、更に逐次近似法(ちくじきんじほう)を用いて被ばく低減をしている施設は限られます。以下当院CTの特徴、最近の注意点を記載します。

  1. 128列CTは胸から骨盤まで、あるいは下肢全長などの広範囲撮影が10秒足らずで可能です。そのスピードを生かして狭心症や心筋梗塞をターゲットとした心臓冠動脈CTも増えてきました。
  2. 逐次近似法を用いて被ばく低減をルーチンで行っております。成人男性が胸部CTを行った場合の被ばく線量は約1mSv(ミリシーベルト)で、従来の64列CTの1/3、20年前の1列CTの1/7です。子供や若者、歯並び矯正など被ばくを出来る限り少なくすべき場合に特にメリットがあります。肺がんCT検診で求められる低線量も遵守しております。
  3. CT検査で使う造影剤は昨年から後発品に切り替え、外来患者さんの医療費軽減に少し貢献しております。造影剤の量、濃度は体重によって異なりますが3割負担の患者さんが100ccの造影剤を使用した場合1200~1400円、150ccを使用した場合2400円これまでより安くなります。後発品をこの1年間で約3000例に使用しましたが造影能や副作用は先発品と変わりませんでした。後発品が体に合わない場合は従来どおり先発品を使います。
  4. 造影CTを行う場合は事前に問診票にてアレルギーの有無、血液検査で腎機能低下がないことを確認します。実は年齢とともに腎機能は低下し、80才以上の女性の約7割に腎機能低下があるとされております(表参照)。軽度低下の場合は造影前後に500ccくらいの補液を行い腎臓を守りながら造影可能ですが、重度の場合は造影できません。
  5. メトグルコやメデットなどのビグアナイド系糖尿病薬を服用している患者さんも注意が必要です。造影剤と糖尿病薬の相互作用により稀に乳酸アシドーシスを引き起こし死亡する事もあるとされております。腎機能にもよりますが、撮影前後5日間の休薬を指導される場合がありますので、造影CTを行う糖尿病患者さんは自分がどの糖尿病薬を服用しているのか確認する必要があります。

 MRはシーメンス社のSymphony 1.5T(テスラ)とTrio 3Tの2台を使用して年間約4000件の撮影を行っております。3Tは高性能装置で現在宮城県に9施設しかありません。当院での特徴は以下の通りです。

  1. 整形領域の検査が多いです。軟骨、靭帯、半月板、関節唇、骨髄のコントラストはCTを凌駕しておりMRの独壇場です。股関節軟骨のカラーマッピングも積極的に行っており、軟骨の磨り減り具合を診断しております。
  2. 乳がんや前立腺がんに対するMRS(MRスペクトロスコピー)も多くの症例で行っており、がん細胞から出てくるコリンの波長をグラフ化し診断の一助としています。
  3. 拡散強調像(diffusion画像)は脳卒中急性期の早期診断や、体幹部ではPET(ポジトロン断層法)の代わりに悪性腫瘍の診断に用いられております。
  4. T2*(ティツースター)やSWI(磁化率強調像)は主に頭部、骨盤部領域において微小出血、微小石灰化の検出に役立っています。
  5. MR検査を行う前に金属があるかどうかチェックします。体内に金属がある患者さんは原則的に撮影できません。しかしMR対応の冠動脈ステントや脳動脈瘤クリップ、最近では心臓ペースメーカーも市販されるようになり、条件付で検査可能になっております。適合性を確認できればその医療機器の添付文書に添って検査することになります。

以上、最近の仙台日赤放射線科の状況をご紹介致しました。今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

▲ 腎機能と年齢、性別(左が男性、右が女性)527594人の解析