診療科から

小児外科医師 安藤 亮

 みなさんは、小児外科という科をご存知でしょうか。最近では天才的な小児外科医を主人公にした漫画がドラマ化されたことなどもあって、以前よりは知名度も上がってきたようであります。しかし、まだまだ存在さえ知らない方や、外科的なことを専門としている小児科医と思われている方も多いようです。
 小児外科というのは、頭頸部から、胸、おなか、お尻まで、全身のさまざまな病気で、手術などの外科的な治療を必要とする子どもたちを対象としています。ただし、頭の中や心臓、骨や筋肉などに関してはそれぞれ脳外科や心臓血管外科、整形外科などの先生にお願いしています。
 小児外科医になるためには、まず一般的な外科医としてのトレーニングを3年から4年ほど積んだうえで、小児外科医としてのトレーニングを行います。小児外科医は小児を専門とする外科医なのです。

 一般の方にとっての外科医のイメージは、やはり癌の手術など悪いところを残さずとるという切除の外科でしょうが、小児外科医の場合は少し変わってきます。もちろん小児の癌などの手術を行うこともありますが、消化管の閉鎖など、そのままでは正常に機能できないものを機能するように作り直す、創造の外科といえます。そのため、常に術後の機能のことを考えて手術にあたります。術後何十年、生涯にわたって正常に機能しなければいけませんので、細心の注意を払って手術を行います。また、病気の完治が一番の目的なのですが、手術による傷あとは子どもたちの大きな心の負担になることもあります。そこで、手術の安全性や根治性を確保したうえで、できる限り小さく目立たない傷で行う方法として、腹腔鏡下手術なども積極的に取り入れています。

 対象とする病気としては、食道からお尻までの消化管の閉鎖、胆汁の流れ道の異常、肺の異常や横隔膜の欠損、頸やおなかの壁にある先天性の孔、小児の外傷(特に胸やおなか)など多岐にわたります。上記の病気は比較的まれなものが多いのですが、頻度の高い疾患としてはそけいヘルニア(脱腸)や急性虫垂炎(いわゆる盲腸)、停留精巣などです。これらは、手術を受けたことがある子がクラスに1人や2人はいるような身近な病気です。
 そのほかに、脳性麻痺などの障害をもつ子どもたちの場合、逆流性食道炎や誤嚥性肺炎に対して、内科的治療だけでは効果に限界のあることがあります。そのような患者さんに対しては、胃酸の逆流や唾液の誤嚥を防ぐ手術なども行っております。
 一般的に、小児科医は内科的な疾患を専門としています。また成人外科医は子どもを診る機会はあまり多くありません。そこで、小児科で入院している子どもたちに外科的な処置が必要な場合や、小さな子が、けがや火傷などで運ばれてきたといった場合も小児外科医の出番となります。

 当科ではこのように、小児の特殊性と外科の専門性を両立した診療を行っております。お子様の病気で手術を要するときや、けがの際などは是非ご相談ください。なお2人の医師で診療を行っておりますので、手術中などは速やかな対応がむずかしいこともございます。来院前にお電話いただけますと幸いです。