医療集談会

第122回仙台日赤医療集談会<3月25日>


副院長 菅野 厚

「お酒をたくさん飲み続けると肝臓はどうなるの?」

人間は遥か昔、紀元前7千年頃にはすでにお酒を作っていたようです。アルコールは肝臓で代謝され、アセトアルデヒドから酢酸を経て、最終的には二酸化炭素と水に分解されます。アルコールは大脳皮質を麻痺させ、酔いを生じさせます。アセトアルデヒドは吐き気や頭痛など、二日酔い症状の原因となります。アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性が生まれつき高い人と低い人がおり、高い人はお酒に強いです(図1)。

お酒は百薬の長と言われますが、飲み過ぎると肝障害を引き起こします。アルコール性肝障害ははじめ肝細胞に脂肪がたまる脂肪肝からはじまります(図2)。

 ここでお酒を控えれば肝臓は元に戻りますが、さらに飲み続けると線維が肝細胞を取り囲む肝線維症になります。さらに進めば肝硬変となって、腹水、黄疸、肝性脳症、食道静脈瘤といた命にかかわる合併症が起きてきます。これとは別に、アルコール性肝障害の人が連日大量にアルコール飲むとアルコール性肝炎が引き起こされ、命を落とすこともあります。アルコール性肝障害における生化学的特徴は、血中GOT>GPT、γGTP、中性脂肪の上昇で、禁酒により速やかに改善します。アルコール自体には肝障害作用はありませんが、アルコールの代謝過程で生じるNAD/NADH比の減少や酸化ストレス、アセトアルデヒドなどが肝障害の発現・進行に関与しています。
  最近、アルコールを飲まないのにもかかわらずアルコール性肝障害と類似した肝組織像を呈する病態、すなわち非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が注目されています。栄養過多により脂肪肝となり、さらにインスリン抵抗性が加わることによりNASHが発症すると考えられています。一部の人は肝硬変へと進展し、肝臓癌になる人もいます。したがって脂肪肝といえども厳重な食事管理や運動療法が必要です。