日赤医療集談会

第112回仙台日赤医療集談会 (平成23年7月22日)

「本院における外来化学療法の現状」

第二外科部長 鈴木 幸正

画像 以前は化学療法と言えば入院して行うのが主流でしたが、最近では、新しい抗癌剤や副作用を押さえる薬剤の進歩、長期間の投与が可能な医療機器の開発により、外来や自宅で化学療法を実施することが可能となってきました。そこで本院では、2005年より、安全でかつ快適に化学療法を受けられる空間を提供する目的に外来療法室が稼働しました。場所は1Fの救急外来の隣にあり、フルリクライニングが可能なシートが6床設置されております。そこでは、テレビも備え付けられており、音楽を聴いたり、自由に食事をすることも可能です(図1)。これまでこの外来療法室で化学療法の施行数をグラフに示します(図2)。現在は年間800例以上の化学療法が行われています。登録されている化学療法のレジメンは80を超えています。また、当院では抗癌剤の点滴を行う患者さんに対し、積極的に皮下埋め込み型カテーテルポートを留置するようにしております。利点としては、穿刺が容易であること、一回の穿刺で採血および点滴が可能で、なにより、血管外に抗癌剤が漏れ出す危険性がほとんどありません。穿刺部位には、鎖骨下、上腕、前腕がありますが、穿刺が安全に行えて留置後の違和感も少ない上腕に留置する割合が多くなってきました。
 患者さんへ適切な治療が行われているか月に1度医師、看護師、薬剤師でミーティングを行っております。今後ますます増える癌患者さんへより安心して治療をうけられるように努力していきたいと思います。

【図1】

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【図2】

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第114回仙台日赤医療集談会 (平成23年11月29日)

「新しい麻酔薬について」

麻酔科部長 石井 仁

画像 麻酔科では全身麻酔と局所麻酔の両方を行っていますが(スライド1)、最近新しい麻酔薬が登場して麻酔の方法が大きく変わってきています。
 従来の全身麻酔では、静脈注射(静脈麻酔薬)で患者さんを眠らせた後、麻酔ガス(吸入麻酔薬)を吸わせて麻酔を維持する方法が一般的でした。
 静脈麻酔薬はすぐに効果が現れますが、長時間使うと麻酔が覚めにくくなる欠点があります。一方、吸入麻酔薬は効果が現れるのに時間がかかりますが、一旦効いてしまえば麻酔の深さを調節しやすく、長時間使用しても覚めが速やかです。それぞれの特徴を活かして組み合わせるのが、これまで広く行われてきた全身麻酔法でした(スライド2)。
 新しい静脈麻酔薬プロポフォールは麻酔の深さを調節しやすく、長時間の使用後でも覚めやすい特徴を持っています。プロポフォールと最近登場した強力な鎮痛薬レミフェンタニルを組み合わせると、手術の痛みをしっかり抑えながら長時間使用しても麻酔の覚めは遅くなりません。
 プロポフォール麻酔の利点は、吸入麻酔薬に比べて術後の吐き気が少ないことや、吸入麻酔薬が使用できない悪性高熱症の患者さんにも安全に使用できることなどです。
 吸入麻酔薬と静脈麻酔薬の両方が使用できるようになり、全身麻酔の安全性が向上したといえます。
 局所麻酔の領域でも、従来に比べてけいれんや不整脈などの副作用を起こしにくく、長時間効果が続くロピバカインが開発されて広く用いられています。
 近年、超音波診断装置が普及したことに加えて、安全性の高い局所麻酔薬が登場したために新しい麻酔法が考え出されました。超音波で神経を観察しながら局所麻酔薬を投与する超音波ガイド下神経ブロックです。
 この方法では目指す神経だけでなく、周囲の血管や臓器を直接観察しながら注射するため、不要な出血や合併症を起こしにくい利点があります。また、血栓症を予防するための薬を内服している患者さんでも安全に行える特徴もあります。
 神経ブロックを全身麻酔や他の局所麻酔と組み合わせることで、手術中の患者さんの状態が安定し、術後の痛みも軽くすることができるようになってきました。

【スライド1】

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【スライド2】

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