診療科から

耳鼻咽喉科部長  松谷 幸子(まつたに さちこ)

花粉症の話

スギ花粉症:春の訪れとともに、やれやれ今年もかと溜息をついている方も多いと思われます。アレルギー性鼻炎の有病率は増加しており、花粉症、中でもスギ花粉症の有病率は今や4人に一人の国民的疾患となっております。スギの花粉を作る花芽は、7月の初め頃から作られます。この頃に日照りが続き、 雨が少ないと、この花芽がたくさん出来ます。昨年が猛暑だった本年は飛散量が多くなると予想された所以です。画像
この号が出る頃にはスギシーズンもそろそろ終了していますが、一旦スギ花粉症が発症すると来年も症状が出る可能性が高いのです。症状があった方はぜひ来シーズンのために今年の状況を記録しておいて下さい。スギの花粉は11月から12月にはもう作られています。1月の気温の最高温度の積算値が300℃付近になると飛散を開始します。テレビや新聞で、「飛散開始日」という言葉をご覧になるかもしれませんが、「飛散開始日」の定義は1cm当たり1個以上の花粉を2日以上連続して観察された初日をいいます。ですから暖かい日に1日だけスギ花粉が飛び始めた場合、飛散開始日以前でも敏感な方は症状がでることもあります。第2世代抗ヒスタミン剤や抗ロイコトリエン薬といわれる内服薬が現在の治療の主流となっております。十分な効果がでるには1〜2週間連用が必要で、投与を継続すると改善率が増すため、発症する前からお薬を服用する「初期療法」が行われます。「初期療法」は症状発現を遅らせ、最盛飛散時期の症状を軽減する効果があります。スギ花粉症の発症には2つのタイプがあると報告されております。ひとつのタイプはスギの花粉の量が多いと症状がでるタイプ、他のタイプは花粉量が少なくても発症してしまうタイプです。いつからお薬を内服するのが良いのかはこのタイプにより異なります。花粉量が少なくても発症するタイプの方は早めに耳鼻咽喉科にご相談下さい。シーズンの終了については環境省の花粉観測システム(愛称:はなこさん)http://kafun.taiki.go.jp/などでスギ花粉情報が得られますので、チェックしてみて下さい。スギ花粉症の方はヒノキにもアレルギーの方がおられます。ヒノキにもアレルギーの方はスギシーズン終了後もしばらく注意が必要です。

カモガヤ、イネ科花粉症:花粉症の原因の約半数はスギ、ヒノキですが、イネ科の雑草が約10%、ヨモギ属が3〜5%、ブタクサが0.2%、カナムグラが0.1%程度といわれています。画像画像
イネ科は5月の連休過ぎから梅雨開け頃まで、ヨモギ、ブタクサは8月から9月がシーズンです。イネ科の代表はカモガヤで、これからシーズンとなります。写真では少しわかりにくいかもしれませんが、よく道路や線路の脇、空き地などに生えています。カモガヤの花粉の飛散は狭い範囲です。身近なこれらの雑草は花の咲く前に刈り取ればかなり症状が抑えられます。また、通勤・通学の道順を変更するなど花粉を避け、シーズン中の洗濯物やふとんを外に出さない方がよいでしょう。

当科では薬物療法で鼻づまりが改善みられない頑固な例や妊婦の方でお薬が飲めない方などにはレーザーによる治療をおこなっています。外来でできますが、予約が必要ですのでご相談下さい。