日赤医療集談会・病院からのお知らせ

「日赤医療集談会」

第104回 日赤医療集談会 平成22年1月22日(金)

「不整脈」って、どんな治療をしているの?
当科における心房細動診療の現状

第一循環器科部長 金野(こんの) 裕司(ゆうじ)

写真 心房細動(atrial fibrillation: af)は心拍(脈として自覚)が不規則になる「不整脈」の一つで、臨床の現場では比較的多く見られ決して珍しい不整脈ではありません。動悸や胸部不快感を訴える方もいますが、全く無症状であることも少なくなく、検診などで偶然発見されることもあります。治療は内服薬による除細動や電気的除細動、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)などにより正常な心拍(洞調律)に戻す方法が理想的ですが、洞調律に復帰しても2年後には心房細動が50%以上の確率で再発してしまうとする研究もあり、日常臨床の場では心房細動のまま心拍数をコントロールする症例が多いのが実情となっています。
心房細動は特殊な例を除いては重篤な病態になることは少ないものの、脳梗塞などの血栓症を引き起こすことがあるため多くの場合で心拍数を整える薬以外に血栓の形成を予防する薬が投与されています。

  平成22年1月時点で当院循環器内科に通院中で、心房細動が確認された後一度も正常な心拍が確認されていない方は60症例あり、その内の80%にあたる48人が男性でした。年齢は男性で70.4±9.7歳、女性73.3±12.2歳とやや女性で高齢の傾向がありました。抗凝血療法は全体の95%に行われており、全体の51%はワーファリン(W群)を、7%はワーファリンとアスピリン製剤の併用(W-A群)、37%はアスピリン製剤のみ(A群)が投与されています(図①、括弧内は年齢)。ワーファリンの用量は診察時に血液検査でPT-INRを測定しておこなわれていますが、PT-INRが2.5を超えると出血の危険性が増加するとされています。当科でのコントロールは概ね良好に行われています(図②)。他科で手術や観血的な処置が行われる場合は可能な限りワーファリンは継続投与のままで、やむを得ず中止する場合にも中止の期間中は入院の上ヘパリンの持続点滴を行っていただくケースが多くなっています。

図   図
図 ①   図 ②
(画像をクリックすると拡大して表示します)

 

結核病棟閉鎖にあたって
「結核医療の歴史と現在」

仙台赤十字病院第呼吸器科
               岡山博、三木誠、佐藤正俊、清水川稔

日赤医療集談会

 結核は、明治維新後の富国強兵・殖産興業に伴い、劣悪な労働環境と物言えぬ社会風潮のなかで蔓延し、太平洋戦争終結後まで増加しました。仙台赤十字病院は、大正13年、診療所として活動開始した時から、結核診療を行ってきました。昭和20年ころ、青壮年のほとんどの人が結核に感染して、1~2割が発症、その半数、青年の20人に1人以上が死亡しました。昭和26年、結核予防法を制定し、社会をあげて努力し、結核患者数と死亡は、現在約1/100まで減少しました。昭和29年ころの結核医療費は全医療費の27%におよびました。今でも結核新規発生は、年間全国で25000人、宮城県でも200人以上の新規結核発生があり、まだ比較的多い疾患です。

  1990年ころから政府の医療政策の基本が「良い医療の提供」から「医療費抑制」「不採算部門の廃止、縮小」に変わり、結核に限らず、多くの病院や診療科で診療撤退や縮小が起きています。全国全ての結核病棟は大幅な赤字です。入院基本料が、一般病棟より著しく低く決められていることが結核病棟不採算の1番の原因です。結核病棟でも、施設運営費、医師や看護師の人件費などは一般病棟と同じ費用がかかりますが、結核病棟の入院基本料は一般病棟と比べ1日患者ひとり当たり6000~10000円少なく決まっています。さらに、診療報酬を含めた結核病棟の入院患者1人1日当たりの病院の収入は、一般病棟の38%に過ぎません。結核病棟赤字の理由として、結核患者数の減少、高い人件費といわれることがありますが、違います。この10年間で県内5病院が結核病棟を閉鎖したため本院の結核入院患者数は増え、高い病床稼働率で運営されました。患者数が少なくても赤字ですが、患者数が増えると赤字額はさらに増えます。収入に対する人件費の割合が高い理由も、人件費が高いからではなく、分母である収入が低いからです。本院は以前から、宮城県と仙台市に「結核医療は結核予防法に基づき、行政の義務として結核医療を行ってほしい」と要望書を提出し、平成18年からは、宮城県と仙台市から、赤字の一部補填をうけられるようになりました。しかし、赤字は根本的には解消されず、平成21年、これ以上続けると結核病棟だけでなく、病院存続を危うくするに到り、結核病棟閉鎖を決めました。

  病院や医療は患者にとってだけでなく社会にとって大切な財産です。結核病棟を含め、健全な医療を維持するためには、赤字を出さずに運営できるように、診療報酬を上げることと、医療機関や医療従事者が誇りを持って安心して働ける社会の仕組みと文化をつくることが必要です。

写真

仙台赤十字病院結核病棟閉鎖にあたって (PDFファイル)

 

先天性股関節脱臼の診断・治療・予防について
-赤ちゃんのより良い育て方-

第一整形外科副部長 後藤 昌子

写真【股関節とは】股関節は骨盤側(臼蓋)が丸く窪んだお椀の様な受け皿で、大腿(もも)の付け根(大腿骨頭)は丸くボール状になって、はまっている関節です。歩くときに体を支える大切な関節です。

【股関節脱臼とは】 先天性股関節脱臼とは大腿骨頭が関節包に包まれたままはずれている状態で、原因としては①骨の受け皿が小さいこと(臼蓋形成不全)や骨頭が前向きにねじれていること、②関節が軟らかいこと、③環境として胎内や出生後の肢位(脚の向きや位置)が関係すると考えられています。このような条件がそろうと股関節は不安定となり、亜脱臼や脱臼がおこります。『先天性』と言いますが実際に脱臼は発育とともに発生・進行します。

【診断】 股関節の診断は問診(出生状況や家族歴、育児状況など)、診察、画像所見を合わせて行います。診察時は赤ちゃんを裸にしてどのような脚であるか、動きや向きを診ます。股(また)の開きが悪い(開排制限)、大腿(もも)の皮膚のしわが左右で違う、左右の大腿(もも)の長さが違う、股(また)のあたりに音がするときは股関節脱臼の可能性があります。画像診断はレントゲン写真、超音波、MRIがあります。当院では月齢や状況に応じ、各種検査法を使用し、きめ細やかに診断することを心がけています。

【治療】 先天性股関節脱臼は早く発見し治療することが大切です。新生児~生後3ヵ月くらいの不安定な股関節はそれだけに、育児の仕方を注意することで安定する場合が多いですし、多くの脱臼は生後6ヵ月までは外来で簡単な装具を着けることで整復が得られます。整復しにくい脱臼や遅れて見つかった脱臼は入院して徐々に脚を引っ張って整復したり、手術が必要になる場合もあります。

【予防】 育児で重要なことは赤ちゃんがM字形に脚を開いて、股関節が自由に動かせるような服装や寝かせ方にすることです。おくるみやスリングで脚を伸ばしたままにすると股関節脱臼や臼蓋形成不全の原因になります。生まれたときから『先天性股関節脱臼』の予防を意識した育児が大切です。

 

病院からのお知らせ

休日診療のお知らせ

下記の休日は通常どおり診療を行います。
平日と同じように病院をご利用いただければ幸いです。

平成22年5月1日(土) 日本赤十字社創立記念日
平成22年9月23日(木) 秋分の日
平成22年12月29日(水) 年末年始休暇

 

糖尿病代謝科からのお知らせ

糖尿病代謝科は常勤医が不在につき、週2回大学からの応援医師による外来診療を行っております。
大変ご迷惑をおかけしますが、常勤医赴任まで再来患者さんのみの診療に限定させていただきます。