診療科から

慢性腎臓病の克服を目指して

腎臓内科部長 山口(やまぐち) 裕二(ゆうじ)

 腎臓内科は,血尿や蛋白尿を呈する腎炎・ネフローゼ症候群の治療と,腎不全に対する血液浄化療法を主に担当する科です。当院には1990年に開設され今年で満19年となりました。医師は3名で,透析に従事する腎センター(1991年11月開設)には看護師11名,臨床工学技士8名が所属しています。

診療科から

 腎炎・ネフローゼ症候群では,組織の変化を知るために腎臓に針を刺して太さ1mm,長さ10~20mmの組織を採る“腎生検”という検査を行います。現在は主に超音波エコーで位置を確認して経皮的に採取しており,年20件ほど実施しております。結果はIgA腎症に代表されるメサンギウム増殖性腎炎が半分以上を占めています。腎生検の結果を元に治療を行い,ほぼ治癒する例も増えてきました。
 しかし一度壊れた腎組織は蘇らないため,強く障害された腎臓は徐々に機能を失い,体のバランスが保てず毒素が蓄積し,尿毒症症状が出て来ます。これが腎不全です。こうなると腎臓の代わりに水,電解質,尿毒素などの異常を是正する透析治療が必要となります。治療法は,血液を透析膜の細い中空の糸を多数束ねたダイアライザーに通し尿毒素や水分を除いて体に戻す血液透析(HD)と,腹腔内に自分で透析液を出し入れし,腹膜を使って透析を行う連続携行式腹膜透析(CAPD)があります。2008年末の日本の透析患者数は282,622名で,HDが約97%でCAPDが3%強です。原疾患は糖尿病腎症が増えています。当科ではCAPDとHDのいずれにも対応していますが,現在は全例HDです。当院では1991年11月(腎センター開設時)は3名でしたが,年20~30名の新規導入や他院からの転入で増加し,現在約95名になりました。HDには毎分200ml前後の血流得るために手首の動脈と静脈を繋ぐシャント手術が必要ですが,当科ではシャント作成も行っています。
 透析の他に当科では,自己免疫疾患に免疫吸着・血漿交換,炎症性大腸疾患に白血球除去療法,重症感染症にエンドトキシン吸着を行い,各科の治療に協力しています。

近年蛋白尿や腎機能の低下が心臓病などの危険因子であることが明らかになり,“慢性腎臓病(CKD)”として積極的な管理が勧められています。健診などで尿の異常を指摘されたら,軽視せずにまずかかりつけ医を受診され,その上で私たちにご紹介頂くようお願いします。

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