診療科から

新生児集中治療室(NICU)

新生児科部長 山田雅明

NICUは体重の小さな赤ちゃん(低出生体重児)や体重は大きくても呼吸障害や仮死で生まれた赤ちゃんの治療を行うところです。
NICUに入院する赤ちゃんの約80%は院内で出生した赤ちゃんです。特に出生体重が1500g未満の極低出生体重児では、その約95%が院内出生児です。このようにNICUに入院する赤ちゃんの大多数が院内で出生する理由は、当院が周産期センター(総合周産期母子医療センター)であるためです。周産期センターは母体の安全と児の後遺症なき生存を目指して、産科医と新生児科医が一つの医療チームとして母体・胎児・新生児の診療・集中治療を行う施設です。このため、切迫早産、前期破水、前置胎盤、多胎妊娠、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、胎児発育遅延など、母体・新生児に問題が起こる可能性のある妊婦さん(ハイリスク妊婦)が、県内の産科施設から当院産科に紹介・搬送されてきます。特に最近は多胎妊婦さんの紹介が多く、昨年は70組の多胎(双子、三つ子)が生まれました。そしてそのうちの約半数がNICUに入院しました。

産科医は入院したハイリスク妊婦さんとその胎児の状態を診察し治療を行いながら、分娩の時期を決めます。NICUの方ではこれから生まれてくる児の状況に合わせて、蘇生や入院後の受け入れの準備を行います。手術室での帝王切開によるお産はもちろん、分娩室でのお産の場合も、全てのハイリスク妊婦さんの分娩にはNICUの新生児科医が立ち会います。
他院で生まれた異常のある赤ちゃんの場合は、全身状態がそれほど悪くなければ消防所の救急車で搬送されてきますが、状態があまり良くない場合は、当院の新生児専用救急車に新生児科医が同乗し、車内で治療を行いながら搬送します。

  NICUは4階A病棟にあります。人工呼吸器を装着した児など24時間集中管理が必要な狭義のNICU 9床と、状態が比較的落ち着いた児のための中等度病室26床から成り立っています。スタッフは新生児科医6名、看護師44名で、新生児科医1名が交代で当直し24時間体制をとっています。

  昨年( 2008年)のNICUへの新入院患者は255名で、出生体重別では2500 g以上が56名、2000 g以上2500 g未満が51名、1500 g以上2000 g未満が67名、1000 g以上1500 g未満が49名、1000 g未満が32名でした。過去4年間の極低出生体重児の治療成績を表に示しました。

  院内出生児のうち在胎週数が35週以上かつ出生体重が1900 g以上ある赤ちゃんで、軽度の異常(黄疸や低血糖など)のみの場合は、NICUではなく4階B病棟の新生児室で治療を行います。そういう赤ちゃんもNICUに入院させると、もっと重症の赤ちゃんをNICUに入院させることができなくなるからです。そのような赤ちゃんが昨年は180名おりました。

  当院には心臓外科と脳外科はありませんので、それらに関しては現在主にこども病院に紹介しています。ただ、未熟児の動脈管開存症の手術は、心臓外科医に来ていただき院内で手術してもらっています。
神経学的異常のある、あるいは来たす可能性のある児には拓桃医療療育センターの発達神経医師が月に2回来院され、入院中から神経学的スクリーニングを行い、NICU内や院内リハビリセンターで機能訓練が開始されます。
NICU退院後は、定期的に発育・発達を外来でフォローアップします。その期間は出生体重1500g以上の児では3歳まで、1000g以上1500g未満の児では6歳の就学前まで、1000g未満の児では9歳まで行うことを基本とし、毎週水・木・金の午後にフォローアップ外来を行っています。