院長室だより

 病室リニューアル工事が完成し、産科病棟の4床室がより快適になり、準個室感覚で利用いただけるように整備されました。医師の人事異動により、4月には複数の診療科に新たな医師が着任しました。新任の医師は、全員、新しい職場で外来・入院診療がスムーズに出来るように努力しております。また、6月より眼科が常勤医一人体制になり、7月から泌尿器科では診療内容の充実を図る目的で水曜日に手術や検査を行うため、水曜日の外来を休診に致します。

  皆様からは常日頃、当院の運営について、外来待ち時間や診療の問題など、さらには特定の医師に対して、辛口のご意見を賜りましてありがとうございます。ご心配とご迷惑をおかけしておりますが、私どもは、これからも頂戴したご意見を生かして、診療の内容・態度・体制の改善や待ち時間対策にも努力して参りますので、さらなる皆様のご指導とご支援をお願いします。

20年度決算について

 20年度の決算について報告致します。医業収支(診療に関わる収入と費用の収支)では、1億8,673万円の損失となりました。入院患者数の減少による影響を大きく受けたためと考えております。病院全体の収支としては、会計規則変更により2億8,826万円が医業外収入として計上されて、3,352万円の収益となりました。しかし、キャッシュ・フロー計算書では1億3,021万円の赤字で、健全な病院運営には、毎年医療機器の整備などが必要になるので、キャッシュ・フロー ベースで黒字を維持することが不可欠です。今後、さらに一工夫・一頑張りが必要と考えております。

新型インフルエンザに関連して

 4月末、メキシコで豚インフルエンザが流行して、死者がかなり出たというニュースに驚かされました。厚生労働省が新型インフルエンザとして、鳥型インフルエンザ(強毒性で、蔓延を防ぐ対策などが整備されていました)と同等に対処すると決定したことを受け、国中で行政や保健所、病院、医院などの医療機関が対応に大童でした。もうすぐゴールデンウィークという時に、降って湧いたような突然の出来事で、成田空港でのものものしい検疫のニュースを見て、予定通りに海外旅行に出かけるかどうか悩みぬいた末に、出発を決めた方も多いと聞きます。

  当院でもすぐに院内対策委員会を開き、「パンデミックになれば再考するが、今は新型インフルエンザの患者さんを受け入れない」と決め、院内に鳥インフルエンザマニュアルの周知を図りました。当院が受け入れないと決めた理由は、NICUを運営し県内の周産期医療の中心となって対応しておりますし、免疫力の弱い透析患者さんが多数透析に通院されていますので、その業務を支障なく運営するためです。一方で、マスク、ゴーグル、予防衣や抗インフルエンザ薬の備蓄量を確認し、不足分を追加購入することにしました。病院では日常的にマスクなどを使用していますが、不用在庫を少なくしようと、在庫を1月程度の使用量に抑えていました。今回、在庫を1年分に増やして、追加購入した物品は備蓄することにしました。抗インフルエンザ薬のタミフルも、通常使用量の数ヶ月分を準備しました。一時的には在庫が増えましたので負担ですが、病院では普通に消費されている物品なので、長い目で見れば影響はありません。

  連休中と前後に、検疫の様子や、大臣の会見などが毎日テレビで流され、国民には新型インフルエンザは恐ろしいとすり込みがされたように思います。そのうち、マスコミを通じて徐々に「新型インフルエンザは、当初、恐れられていたような強毒性では無い」、「空港での検疫や感染者隔離の効果は懐疑的」、「厚生労働省にはこのような事態に対応できる公衆衛生の専門家が不在」、「感染予防に手洗いは有効だがマスクとうがいの効果は疑問」等々、一部の専門家の意見や情報が発信され始めました。

  これらを見聞きして暴論なことは承知していますが、「国民にとって今回のような事態では、日本がCDCなどがしっかりと対処しているアメリカ合衆国51番目の州であった方が良かったのでは」と思いました。我が国でも、有能な人材を確保して、情報収集がきちんと出来て必要な検査なども出来る体制を整備して、WHOやCDCなどの世界の常識が、即日本の常識になるようにして欲しいと考えます。

  今回の新型インフルエンザが、想定していた鳥型ウイルスと違い、強毒性で無かったことは大変ラッキーで、叱られるかもしれませんが、一連のことを強毒性のインフルエンザ襲来に備えた大演習と考えれば救われる気がします。しかし、強毒性では無いものの油断は禁物で、今秋以降のインフルエンザの流行期に対して私たちは、今製造中のインフルエンザワクチンで備え、流行したら手洗いや咳エチケットなどをきちんとやり、罹ったかなと思ったら無理をせず自宅で休むことにしましょう。