診療科から(小児外科)

小児外科的便秘の話

小児外科医師 西(にし) 功太郎(こうたろう)

 皆さんは小児外科という科をご存知でしょうか? 小児外科は読んで字の如く、子供の外科で、外科というからには主な仕事は手術です。しかし小児外科では必ずしも手術を必要としないお子さんを対象にすることもあります。その代表として便秘が挙げられます。今回は小児外科的便秘のお話をしたいと思います。

 赤ちゃんは普通一日に何回も排便します。ところがなかにはまだ腸の機能や排便する力が未熟で、うまく排便できないという場合があります。成人の方ですと「便秘になったら下剤を飲む、浣腸をする」という方は大勢おられると思います。小児でも便秘に対して下剤や浣腸を使います。綿棒で肛門を刺激するということもあると思います。そしてほとんどの場合は成長とともに、そういったものの助けを借りずとも徐々に排便できるようになっていきます。小児外科にはたくさん、そういうお子さんが通院しています。ところがごく少数ですがそれだけではうまくいかず、手術をしないといけない場合があります。その代表的なものがヒルシュスプルング病というものです。

 この言いにくい名前の疾患の原因は腸の壁にある神経システムです。腸は水道管のような単なる管ではなくて、食べた物や便やおならが上流から流れてきた時にうまく下流へ流れるように巧みに伸縮しています。これを指揮しているのはそれぞれの腸の壁にある神経システムです。このシステムはお母さんのおなかにいるときに口から始まって肛門方向へ伸びていきます。原因は不明ですが、それが途中で止まってしまうと、その先の腸は物をうまく運べなくなってしまいます。典型的には「生まれて間もない時期から便やおならが出ないため、おなかが極めて膨れてしまう」状態になります。おなかがぱんぱんなので当然ミルクも飲めなくなってしまいます。このような場合、システムの欠如した腸を切除しなければなりませんが、その前に本当にこの病気なのかを見極めなければなりません(何と言っても、この病気は5000人に1人の珍しい病気ですから)。排便の状況をよくお聞きすることから始まり、腸の造影や腸の反射の検査を行います。場合によっては肛門近くの粘膜を少し切り取って神経の状態を調べる検査をしたりもします。この病気が否定されれば、引き続き小児外科に通院して頂いて、下剤や浣腸を使いつつ、成長とともに良くなってくるのを気長に待ちます。残念ながらこの病気だということになった場合、手術が必要です。切除しなくてはならない腸の長さや排便のコントロールができるかどうか等によって手術の時期や方法が決まります。生後1か月以下の赤ちゃんに手術する場合もあります。手術できちんと排便できるようになりますと、ミルクも飲めるようになってしっかり成長していけます。

 典型的ではなくとも、「生まれた時から便秘がちで」というお子さんでこの病気のこともあります。そうでなくとも便秘を放っておくとどんどんと腸が太くなり、頑固な便秘になってしまうこともあります。

 1日1便。排便のことでご心配な点があればご相談ください。