日赤医療集談会

最新の形成外科治療

-皮弁移植法から創傷管理を中心としてー
創傷治癒に関するトピックスー

東北大学大学院医学系研究科形成外科学分野教授 館 正弘

1、新しい皮弁移植法

  外傷創や手術創に代表される急性創傷は通常2週間以内に治癒します。一方、治癒が遷延すると医療費を含めさまざまなマイナス要素が発生します。またこの遷延した創は瘢痕拘縮を生じ、醜状変形を生じることが多いため、患者の早期社会復帰を妨げることになります。形成外科が担当する組織再建手術において、合併症無く治癒をもたらすためには、移植する皮弁の容積とその容積に最適な血流量を保つことが求められます。皮弁移植法の発展は皮弁に筋肉を含める筋皮弁の開発によって大きく進歩してきました。それまでの皮膚だけを用いた皮弁移植法から、筋肉を皮弁に含めることによって、安全性が向上すると同時に、大きなボリュームを移植することが可能となったのです。ところがその後、筋肉を含まなくとも安全に皮弁が挙上できることが明らかとなりました。これが穿通枝皮弁といわれる皮弁であり、筋肉を犠牲にすることなく、自由な大きさ、厚さの皮弁が作成できるようになりました。この技術の開発により、欠損部の形状に合わせた皮弁が移植できるようになり、移植部位の創傷面の血流が良好となり、合併症の減少につながりました。

2、創感染症に対しての新しいアプローチ

手術後の創感染は全手術症例の2%で見られ、患者の社会復帰の遅れ、医療費の増大、入院期間の延長、院内感染症の温床となるなど、依然として大きな問題となっています。形成外科ではこのような治癒の遅れた創部に対し、さまざまな面からアプローチし、可及的早期の回復を目指しています。創面に対する創部処置と同時に、血流に注目した全身的なアプローチも重要です。実際的には効果的に局所の細菌コントロールを行うために、抗菌剤を適宜使用します。大きな組織欠損や筋膜までの深い感染創には陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy)も有用です。