日赤医療集談会

第94回 日赤医療集談会

放射線科部長 岡田秀人

平成20年5月30日(金)
「当院の3テスラ(MAGNETOM Trio)ならびにCT付きガンマカメラ(SymbiaT2)のご紹介」

詳細は、RedCrossせんだいNo.67号「診療科から」をご参照ください

第95回 日赤医療集談会

第一外科副部長 小林 照忠

平成20年7月11日(金)
「胃癌・大腸癌治療の現状について」

 胃癌は肺癌に次いで癌死の第2位で、年間約5万人が亡くなられています。胃癌治療の基本は手術による切除で、胃の2/3以上の切除と第2群までのリンパ節郭清*が定型手術です。癌の進行度はIからIV期に分けられ、早期のI期では9割の方が治ります。しかし、III期以上の進行例や食道浸潤例の治療成績は十分ではありません。治療成績向上を目指し、定型手術よりも広範な切除を行なう拡大手術の臨床試験がわが国で行われましたが、治療成績に差はありませんでした。一方、胃癌に対する化学療法**は近年急速に進歩し、遠隔転移***を伴うⅣ期、再発例に対する新たな標準治療も確立されました。また、切除術後の化学療法の再発予防効果も証明されました。現在、進行癌に対する術前の化学療法の有効性について臨床試験が進行中です。

  大腸癌は近年増加し、現在年間約4万人が亡くなられています。大腸癌治療の基本も手術による切除で、腸切除とリンパ節郭清を行ないます。癌の進行度は0からIV期に分けられますが、遠隔転移のあるIV期であっても可能であれば切除が基本です。大腸癌は胃癌よりも治療成績が良好ですが、肝臓への転移が多く、直腸癌では局所再発も多く見られます。肝転移に対しては手術による切除が最も有効ですが、化学療法、局所療法も組み合わせて治療し、成績も向上しています。局所再発予防のため、欧米では手術前の放射線治療が、わが国では拡大リンパ節郭清が行なわれています。局所再発に対しては、従来の手術、放射線治療に加え、最近では重粒子線治療やラジオ波などの局所治療が注目されています。大腸癌に対する化学療法の進歩も目覚しく、各種新薬の開発と分子標的薬の導入により、転移・切除不能例でも生存期間が大幅に延長しました。また、切除術後の化学療法は再発予防に有効です。

 当科では最新の情報を基に、患者さん一人一人に合わせた治療を提供しています。

リンパ節郭清*(リンパ節を取り除くこと)
化学療法**(抗がん剤による治療)
遠隔転移***(肝、肺など遠く離れた臓器への転移)