日赤医療集談会

消化器疾患の話題(下部消化管疾患を中心に)
第93回 3月28日(金)

第一消化器科副部長
大森(おおもり) 信弥(しんや)

■大腸ポリープ・早期大腸癌について
当院の消化器内科には、大腸のポリープを内視鏡を使って切除する治療(ポリペクトミー、粘膜切除術)のために、多くの病院・診療所から患者様を紹介頂いております。「ポリープ」とは良性の腫瘍でありますが、大きくなったりすると癌(がん)化することがあり、早期発見・早期治療が望まれます。一方で、全てのポリープが切除対象となるわけではなく、経過観察での対応のみで可能な病変もあり、内視鏡による適切な診断が重要となります。大腸癌の患者様が年々増加傾向にある現状を踏まえ、消化器内科としては今後とも、良性と悪性(癌)の鑑別を中心に、一つ一つの病変に対し、より正確な内視鏡診断を行い、患者様お一人お一人にとって最適と思われる治療法を提供することを目指していきたいと思います。

■便培養検査について
急性腸管感染症(感染性腸炎など)の診断をする上で、便中に潜んでいる病原性の細菌を検出する「便培養検査」は重要な検査であります。綿棒で肛門を軽く擦るだけで済み、下痢などの症状でお悩みの患者様には、病態解明に有用となり得るだけに、今後とも消化器内科においては、積極的に取り組んでいこうと思います。

■消化器内視鏡治療をするうえでの抗凝固薬・抗血小板薬の取扱いについて
  昨今の消化器内視鏡の進歩により、さまざまな内視鏡治療(がん・ポリープなどの病変切除術、総胆管結石除去術など)が可能となりました。一方で、高齢化社会となり、脳梗塞や狭心症・心筋梗塞などの疾患を有し、血液の流れをよくする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を服用されておられる患者様が増えております。このような薬をそのまま飲みながら治療内視鏡を行うと、出血が止まらなくなる可能性があり、治療前後で休薬が必要となります。ただし、休薬期間中に、血液が相対的にドロドロになり、血管が詰まってしまう(血栓塞栓症)可能性もゼロではありません。消化器内科では、これらの薬を止める上で、安全性を重視しつつ、きちんとした患者様への説明を行い、治療についての同意を頂く診療にいち早く取り組んでおります。今後とも、患者様に安心して治療をお受け頂くための、よりよいシステムづくりに努めていきたいと思います。

形成外科について

東北大学院医学系研究科
外科病態学講座 形成外科分野教授 館(たち) 正弘(まさひろ)

形成外科

形成外科とは?
形成外科とは、一言でいえば「形を治す」外科です。対象となる部位は頭部から足先まで全身に及び、また対象となる疾患も非常に多岐にわたります。以下に主な原因疾患を挙げて解説します。

1、体表先天異常
口唇裂・口蓋裂、小耳症、多指症、合趾症などといった生まれつきの形態異常の大部分は形成外科の治療対象となります。

2、腫瘍と腫瘍切除後の組織欠損
皮膚や粘膜部の悪性腫瘍の切除手術をおこなった場合、皮膚・筋肉・骨などをできるだけ元に近い形に修復(再建)する必要があり、外科系の科と協力して行います。例えば乳癌によって乳房が切除された場合に乳房の再建を行っています。

3、顔面神経麻痺
顔面神経は顔の表情筋を動かす神経です。顔面神経麻痺が生じると笑い顔ができない、ご飯が食べにくい、目がつぶれないなどの症状が出ます。まぶたを閉じることが出来るようにする形成手術や、自分の神経・筋肉を移植して笑い顔を作ることが可能です。

4、眼瞼下垂
上まぶたが下がり、ものが見えにくくなります。疲れやすく、自動車の運転にも差しさわりがあります。肩こりや、高血圧などのさまざまな病気の原因となっていることもあります。局所麻酔での形成手術を行ないます。

5、外傷とそれに関連する変形
顔面や手など、外観や機能が日常生活にとって大事な部位の切創・裂創・皮膚欠損・骨折・熱傷なども形成外科の治療対象となります。また不幸にして外傷後に顔面や手などに目立つ瘢痕や瘢痕拘縮、あるいは骨を含めた変形が残ってしまった場合、それらの修正手術も行っています。このほか交通外傷や転倒で、顔面骨が折れる場合があります。鼻骨・頬骨、下顎骨などが代表的な部位です。適切な診断のもと骨折部位を整復します。

6、難治性潰瘍
通常のキズであれば10日間もあれば治癒するのですが、数週間以上治癒しない創を難治性潰瘍と呼んでおります。代表的なものとして、褥瘡(とこずれ)、下腿潰瘍、糖尿病性足壊疽などがあります。あるいは手術の創部が感染したりして閉鎖しない場合なども治療対象になります。

形成外科診療日:月2回 第1・3火曜日(午前中)
         診察場所は整形外科外来になります。

※詳しくは、整形外科外来窓口にお問い合わせください。