院長室だより

 新春のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、希望に満ちた新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年から工事中でご迷惑をお掛けしていますが、3月には増築棟が完成し大部屋が4床室になり、放射線科のRI、MRIも稼動して、病院機能がパワーアップします。私達は新たな環境で、患者の皆様に安全で時代に遅れない医療を提供できるよう努力し、スタッフが安心して医療に従事できる職場作りをしながら、皆様の健康生活の維持をお手伝いします。

今おかれている医療環境について

  政府は、医療費がこれ以上伸びれば、人口減少・超高齢社会の到来・経済低迷等から国の財政が破綻すると医療費の抑制を図っています。また、日本では医師不足はなく、医療費が膨張するのは欧米と比べて国民当りの病床数が多く入院日数が長いからだと説明していますが、医療費増加の要因は医療の進歩と高齢化社会によるものです。日本の医療コストは欧米よりかなり低く抑えられ、国民皆保険制度の下で良質の医療が低いコストで受けられた結果、日本は世界一の長寿国になりました。

[病床数、入院日数]  日本では退院すれば自宅に帰りますが、アメリカでは入院費が高いので大手術を受けても術後数日で退院、とは言っても直接自宅ではなく、病院近くのホテルやモーテルに宿泊するかナーシングホームに入所し、日本なら入院で継続する点滴や処置を通院して受け、落ち着いてから帰宅します。アメリカの入院診療の内容は日本の術後集中治療室での診療に近く、病床数を単純に日本とは比較できませんし、入院日数を手術から帰宅までの期間とすれば日米ほぼ同じになり、日本の入院日数は長くはありません。

[医療費]  日本では診察料、経験豊富なスタッフが数名で協調してやる手術や検査の手技料、人手の掛かる看護ケアなどが、押し並べて低く評価されています。アメリカではこれらへの評価が高く、しかも入院は術後集中治療室に入るような手の掛かる患者さんだけなので、入院費が高額になり、アメリカの入院費は日本の10倍近くになります。

[元気に医療が出来るように!] 低コストで安全・安心な医療を提供せざるを得ない病院は、人件費等の負担が嵩み、数回の医療費マイナス改定の影響で経営がどんどん悪化しています。アメリカ映画「シッコ」で見た入院患者の置きさりはショックでしたが、日本では無いと思っていました。その後、日本でも類似例があり、報道だけでは詳細は不明ですが、患者、病院、医療・福祉行政が全部悪い方向に回ったためかと思います。置き去りが二度と起きないように、そして、医療の現場で医師や看護師等の医療従事者が元気にやりがいを持って仕事が出来るように、医療費が人手の掛かる所に厚く配分されるように希望します。

[勤務医不足] 産科・小児科医不足のニュースが皆様の目に入ると思いますが、実情は、かなりの病院で産科・小児科にとどまらず、多くの診療科で核となる中堅の勤務医が不足し始めています。業務が過酷で勤務医が一人辞めると、残った勤務医に負担がかかり、連鎖反応で次々と病院を去ることになり、やがて診療科の閉鎖へとつながります。以前、外来では聴診器、採血・レントゲン検査等での診断でしたが、最近ではさらに超音波・CT・MRI検査等に詳しい説明の時間も加わって、患者さん一人当りの診療時間は増える一方です。医師1人で診察できる患者数が減った結果、外来の待ち時間は、短縮せずむしろ長くなっています。勤務医は毎日忙しく働いていますが、救急外来のコンビニ化、モンスター患者への対応等でその仕事は増えるのみです。マンパワー不足は深刻で、速やかに勤務医を増やす政策への転換が必要です。
新年早々には、ふさわしくない話題だったかも知れませんが、皆様に医療の現状を知っていただきたくて、報道、講演やインターネットから得た情報を基にまとめました。このような中ですが職員は一丸となり、患者さんの健康を守ることを第一に考えて、当院に課された一般・救急医療、災害救護等を行いますのでご支援をお願いします。