あいさつ・医療集談会

選ばれる病院

事務部長 松本(まつもと) 和夫(かずお)

 これからの病院のあり方についてよく言われることは、地域の皆さま、患者さまに「選ばれる病院」であることです。医師、看護師など医療従事者を取り巻く状況が変化して、病院は、医療に携わる方々、病院に勤務する者からも選ばれなければなりません。「あなたが働きたい病院にするためには、どうしたらよいですか」という問いかけも出てきています。
  そのようなこともあり、8月に院内保育所「かるがもハウス」を開所しました。病院に勤務する職員の労働環境を改善したい、また、有能な人材を確保したいとの思いもあります。できる限り利用しやすい施設にしましたので、職員の皆様に活用していただきたいと願っています。
  現在、病棟・診察室等の増築、RI・MRI・乳房撮影など画像診断機器の整備、診療情報のIT化などの事業を進めています。来年3月には、診療施設、医療機器等の整備が完了し、患者さまには、より良質な医療環境で受診していただけるものと思っています。
  このような設備投資を支えるのは、日々の診療から得られる医業収益です。今年度当初は、診療圏内の医療機関の動向もあり、患者数が減少し、収支は低調でした。7月から8月になって、診療科医師も整備され、前年度を上回る収益を上げることができ、また、費用の削減も進み、収支においては、ほぼ良好な状況にあります。しかし、ひとつ残念なことがあります。院内の会議、委員会、講演会、説明会等に職員の出席が少ない、院内メール(サイボウズ)を読まないなど、先のことを考えると運営上支障がでるのではないか。収支が良ければすべて良し、と言うわけではありません。それぞれの職員が経営意識を高めるためにも、積極的な行動を期待します。
病院経営は、日々の一つひとつの診療行為を的確に実施し、患者さまとの関わりを大切にすることから始ると思っています。より良い医療人を確保し、良質な医療を提供し続けること、経営収支の均衡を図りながら、施設設備の整備を行なっていくことが肝要です。
  これからも赤十字病院として、全職員がまとまり、様々な面から「選ばれる病院」になっていかなければならないと思っています。

第88回 日赤医療集談会(5月24日)

腎臓内科部長
山口(やまぐち)裕二(ゆうじ)

 当院の腎臓内科は1990年木下康通先生着任から始まりました。血尿・蛋白尿を示す多彩な疾患の中で、腎臓内科は慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群等の腎実質の病気を主な守備範囲とし、それを支える手技として血液浄化療法を担当し、16年が経過しました。
正常な尿は蛋白、潜血反応が陰性で、細胞成分や円柱は殆どありませんが、病的状態では様々な程度の蛋白や赤血球、円柱が出現します。腎機能検査としては尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cr)が代表的ですが、腎機能が1/3まで低下しないと変化せず、またCrは筋肉量に、BUNは蛋白摂取量に影響されます。精密な評価にはCcr、PSP試験、シスタチンC等を調べます。活動性の腎疾患を疑ったらエコー下または手術的に腎生検を行い診断します。当科では年間約10例程度施行し累計250例になりました。組織はIgA腎症に代表されるメサンギウム増殖性腎炎が半分以上です。組織所見に従って治療し、疾患によってはほぼ治癒する例もあります。しかし壊れた腎組織は再生せず、高度な障害を受けた腎臓は徐々に機能を失い尿毒症となります。その場合腎臓の代わりに水、電解質、尿毒素等の異常を是正するため、血液透析やCAPD等の血液浄化法が必要になります。当腎センターは1990年に医師1名、臨床工学技士1名、看護師3名、5床で開設。患者は当初の3名から急増、規模を拡大し二部透析も始め、1994年CAPDを開始、2001年30床となりました。透析以外にも敗血症に対するエンドトキシン吸着、潰瘍性大腸炎の白血球除去療法も始めました。現在医師3名、臨床工学技士8名、看護師11名の態勢で約95名の患者に月約1200件以上の透析を行っています。この間全国の透析患者は1990年116,000名から2005年末257,000名となり、導入年齢は66歳以上と高齢化しました。原疾患は、慢性腎炎が減少し、糖尿病や腎硬化症が増加し、1998年以降は糖尿病が1位です。当腎センター患者の原疾患は糖尿病が40%と最多で、以下慢性腎炎、腎硬化症の順です。糖尿病患者は全身の合併症が多く、安全に長期透析を行うためになお努力しています。
現在、末期腎不全患者が増え続ける背景に、膨大な予備軍として慢性に経過して腎臓の機能が低下する「慢性腎臓病(CKD)」患者がおり、対策が必要とされています。私たちも東北大学腎不全対策講座に協力し、外来患者を宮城県CKDデータベースに登録して腎機能の長期追跡調査中です。少しでも腎不全患者が減るよう微力ながらがんばりたいと思います。