診療科から
■白内障について       眼科副部長  草刈 裕子
I. 白内障とは
 目の中にある水晶体が主に年齢的な変化で濁るもので、視力の低下やまぶしさ、かすみ、複視などの症状が出現します。(糖尿病などの疾患や外傷、ステロイドなどの投薬で起こることもあります。)
II.検査
 散瞳した状態での細隙灯検査・眼底検査などが必要になります。眼底が確認できないくらい進行した白内障では、超音波断層検査や網膜電位図なども行われます。
III.治療法
 水晶体内の不足物質を補い、代謝異常への阻害剤投与を目的とした点眼剤・内服薬が古くから使用されていますが、ある程度の進行抑制効果が認められるだけで、使用していても進みます。(先日一部報道で「白内障の点眼剤使用は意味がない」と言った報道がなされましたが、これら点眼剤は1984年の厚生省薬効評価で再認可を受けており、科学的根拠に乏しいとは言え、有用性は確認されております。)
 進行した場合、日常生活に不自由を覚えるようになった時点で、手術が必要になります。手術で十分に視力が回復するためには、角膜や硝子体などの中間透光体が椅麗であること、眼底に疾患がないことなどの条件が揃っていないといけません。
 また、白内障の程度によって手術術式や局所麻酔の方法が異なり、通常濁った水晶体を取り除く白内障手術のほかに、眼内レンズ挿入術が併用されます。レンズの度数は、1人1人の目のサイズ(角膜曲率や眼軸など)から計算されます。移植された眼内レンズは、後から病気や怪我をしない限り、一生にわたって使いつづけることが可能です。
 眼内レンズの持つ欠点としては、焦点距離の調節が出来ないという点があります。本来の水晶体は、筋肉の力で厚みを変えて、遠くや近くにピントを合わせることが出来ますが、眼内レンズにはその機能は備わっていません。このため、ある一定の距離にあるものにははっきりピントが合いますが、それよりも遠くや近くは少しぼやけたように見えることがあります。こうした症状は、適切な眼鏡を装用することで解決されます。
IV.手術の合併症
 出血・感染・後嚢破損・水晶体核片落下・続発緑内障などの比較的知られた合併症の他に、網膜動脈・静脈の閉塞、虚血性視神経症、硝子体出血、駆出性出血、網膜剥離などの報告もあります。場合によっては、手術前より視力が低下することもあります。
V.後発白内障について
 手術を終えてしばらくたってから、再び白内障になったかのように視力が落ちることがあります。これは、眼内レンズを包んでいる水晶体嚢が濁ってくるために起こる症状で、後発白内障と呼ばれています。
 治療としては、レーザーで切開する方法が用いられます。数分で終了し、入院の必要はありません。眼帯も必要なく、施術直後から眼を使うことが出来ます。
VI. おわりに
 白内障は加齢が原因となる疾患で、ある程度の年齢になれば皆さん発症します。手術の時期については、ご本人の生活でどの程度の視力が要求されるかが異なるので、自分で決めていただいて結構かと思います。(但し、極端に進行してしまうと、手術術式が煩雑になったり、時間がかかって合併症の危険が増すことにもなるので、あまり我慢するのも考えものです。)
 手術ですべてが解決すると思っていらっしゃる方も多いのですが、遠近ともに見えるようにするには眼鏡が必要になりますし、眼底などに他の疾患をお持ちの場合必ずしもご期待に添えないこともありますので、手術を希望される際には、主治医の先生とよく相談なさってください。


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