診療科から
■医療における安全管理 〜医療安全管理室から
                     医療安全管理室・副室長 千葉 裕二
 1999年の横浜市立大学医学部附属病院における手術患者取違え事故は一般市民の皆様のみならず、われわれ医療人にも極めて大きな衝撃を与えた事件と言えるでしょう。それまでの医療事故や医療過誤は極めて稀な“偶然”が引き起こした事故という認識がわれわれ医療人にはありました。しかしこの事故は行政当局や関係者によってその発生メカニズムが詳細に検討され、“偶然”ではなく、“管理システムが抱える様々な欠陥”によって起こった事故という調査結果が公表されました。これにより医療者も人間である限り過ちを犯すものであり、我々医療人はその過ち(ヒューマンエラー)を減らす対策とエラーが発生しても事故に至らない管理システムの構築が重要であることを学びました。以来今日まで、医療の安全について様々な角度からの取り組みが行われています。そこで、当院の医療安全活動の一端を医療安全管理室からお話させて頂きます。
 当院では診療上の“ミス”や“エラー”はインシデント・アクシデント報告として医療安全管理室に報告されます。最近の報告件数をグラフ1に示します。これらの報告からその“ミス”や“エラー”の要因を分析し、“ミス”や“エラー”を起こさない“対策”、起きても“事故”に至らないための“対策”を検討します。主にシステムや環境に関する要因を洗い出し、関係部署毎や病院全体で対策を行います。
最近行った対策のひとつに“手術を受けられる患者様へのリストバンド装着とチェックリストによる確認の実施”(写真1)があります。幸いにも当院では手術患者取違え事故はありませんでしたが、取違えそうになった“ヒヤリ”ケースが2件ありました。“患者様がご本人である”ことの確認には様々な方法がありますが、現時点ではリストバンドが有用であると考えて導入いたしました。患者様にはご不自由をお掛け致しますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
 一方、職員に対する安全教育も医療安全管理室の役割です。今回は各部署の安全管理者であるリスクマネージャーに対する教育研修を企画し、7月12日に、神奈川県看護協会・医療安全対策推進班・主幹の福留はるみ先生を講師に招いて、『組織事故』『インシデント・アクシデントの事例分析』をテーマに研修会を開催しました。午前の部では講演を拝聴し(写真2)、午後の部ではグループワークで事例の分析方法を学びました(写真3)。参加された職員の今後に期待したいと思います。
 当院の安全管理活動は未だ始まったばかりで十分とは申せませんが、患者様に“より安全でより良い医療”をご提供できますように、我々職員が“安全な医療”を自覚し、実施できる環境を整えたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。


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