◆第62回<1月10日>
医療事故対策は病院の良心
           院 長  小山 研二

1.医療事故対策の暗黒の歴史
 最近、医療事故関係のニュースが絶え間なく報道され、医療不信を拡大・醸成するような雰囲気さえあります。しかし、医療不信の嵐は、どの先進国も経験することで、その遠因は、かつて、医療者側が情報開示や説明・同意の無い、少なからず、独善的な「施す医療」を行ってきたことにあります。今はその過去を清算しつつある時期で、医療の信頼を回復するまで、我々の真摯な努力が必要です。我々には、医療事故・過誤皆無を目指して努力を重ね、それでも生じたら、病院を挙げて真摯・誠実に対応することが求められています。
2.安全な医療の基本
 病院全体で、組織的にエラーレジスタントシステム(エラーが生じにくい仕組み)とエラートレラントシステム(生じたエラーが増大しない仕組み)を十分に考慮した環境整備を行うことが必須です。エラーが生じにくい仕組み、とは、経腸栄養管と経静脈輸液セットを接続しようとしても出来ない構造とか、手首、足首のIDバンドによる患者同定、バーコードが合わないと警報が鳴るシステム、名称、形状、色等が類似する物品(サクシンとサクシゾン等)を置かない、物流を一定にして事故の温床になり得る「病棟管理薬品」を廃し、その都度、薬剤部から病棟へ運ばれる仕組み等です。また、生じたエラーが増大しない仕組み、とは、職種・職階に無関係に、相互に気軽に質問・確認・注意し合える業務環境の構築、職員全体が、生じ易いエラーとその結果を認識できる情報、各部署での架空事故への対応セミナーなど、です。
3.医療事故防止策と発生時の対応
 医療事故防止策の策定とその実行・持続的改善を病院の最重要事項と位置付けることが第1です。それでも、医療事故・過誤が生じたら、患者の救護を行うとともに、患者等に医療事故・過誤の可能性を伝えてお詫びし、速やかに事実関係を明らかにして詳細に説明することを約束します。直ちに医療安全管理室に第1報を送り、状況に応じて管理室の支援を受けて対応します。管理室と協力して、事故の発生/拡大経過の解明と、エラートレラント/レジスタントシステムの問題点の発見により、事故再発を防止すること、当事者の精神的支援を行うとともに、事故再発防止策検討への積極的参加と自己研鑽を課すことが必要です。
4.まとめ
 医療事故対策とは、事故から病院を守るのでなく、事故・過誤から患者と医療従事者を守るための対策であり、最終的に、「この病院は、決して患者を騙さない」という信頼を得ることで、初めて病院が守られるのです。


◆第63回<2月27日>
院内感染対策と抗菌薬適正使用のポイント

     東北大学大学院病態制御学講座 分子診断学分野 教授 賀来 満夫

 2月27日(木)、賀来 満夫 教授を講師として招き、第63回医療集談会が開催されました。今私たちの前に大きな脅威として存在する感染症、それに対する対策は世界中の全ての医療機関で最重要課題となっています。現在問題となりつつある新興・再興感染症、バイオテロなど例を挙げ述べて説明されました。また、抗菌薬の適正使用のポイントについて、くわしく解説をいただくとともに、今後取り組むべき対策についても指摘いただきました。
 当日は看護師を中心とした数多くの職員が参加し、大変実り多い集談会となりました。



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