院長室だより
病院創立78周年に寄せて             病院長 小山 研二

10月18日に、私達の仙台赤十字病院は、創立78周年を迎えました。この間の、日本赤十字社、同宮城県支部のご指導に感謝し、また、これまで本院を守り育てて下さった、患者様はじめ地域の皆様方に心から御礼申し上げます。そして、各方面からの温かいご支援に応えて、各時代の病院職員が、赤十字をこよなく愛し、その精神を基盤として真摯な努力を重ねながら今日を迎えることができたことを、ともに喜びたいと思います。
 現在の医療では、患者さんを中心にして、その周囲に多種多様な専門性をそれに伴う資格をもつ医療者が、チームとして診療を行うのが基本です。また、病院の運営・経営基盤を整える事務部門の重要性は頓に増しております。私達職員一同は、これらの現状をよく認識し、職や専門性を問わず、人間本来の善意と医療の倫理観とを堅持しつつ、各々に期待されている業務に励み、本院の存在意義をいやが上にも高める努力を重ねる決意でおります。
 さて、本院創立78周年に当たって、幾つかの企画をしました。このことを、病院をご利用くださる方々のご理解を得るために、書かせていただきます。
 第一の企画として、これまでの本院の理念と基本方針とを一部改定し、表紙に記載しました。ここに、これらの意図するところをご説明いたします。
1.本院の理念の改定に当たっての考え方
 理念とは、「理想型」「自らのよって立つ考え方」など抽象的かつ広範なもので、具体的行動や目標などを示すものではありません。そこで、これまでの「理念」の根底にある考え方、価値観などを抽出して新理念としました。
 「人道、博愛」は、赤十字社の基本精神であり、赤十字に身をおく私達の根元をなすものです。また、「全ての人の尊厳」は、赤十字の国際標語から引用しました。病気、けが、災害など身体的、精神的に不利な人々が、人としての尊厳を護られながらそれらの障害を乗り越えること、そして、それを支援する私達病院職員も、尊厳を保ちながら業務に励むことが必須だと考えるからです。
2.基本方針の改定に当たっての考え方
 基本方針は、理念を実現するための具体策で、本院の使命、役割や医療における基本的姿勢などを示すものです。また、これは、本来は病院のためのもので、全ての職員がそれをよく理解し、各事項の達成のための行動目標と戦略を設定し、実行すべきものです。しかし、同時に、基本方針は、本院を利用される(利用しようか、と考えられる)方々にも、有用な情報源になります。
 そこで、以下に、基本方針の各事項に示す本院の姿勢と意図を簡単に説明いたします。  1)本院のもつ機能と地域における位置付け
  本院は、殆どの診療科を設置して総合力をもち、日常的疾患の全てに対する標準的・総合的な医療を、周辺の医療施設と連携しながら、地域の方々に提供します。同時に、稀な病気、治療困難な病態に対して、各診療科やセンターは、多数の重点的診療事項をもち、また、赤十字本来の災害救護活動能力も備えており、これらの特殊性ある診療能力を、広く県内外の方々に提供します。
 2)本院の診療における基本姿勢。すなわち、患者様の諸権利を尊重し、インフォームドコンセントを重視すること
 3)「根拠に基づく医療」を安全・正確に提供するが、万が一、事故・過誤が起きてしまったら、誠実に対応する姿勢
 4)明日は、今日よりも良い医療を提供できるよう、職員が研鑚を積む姿勢
 5)外部からの評価を重視して、病院の持続的改善を目指す姿勢
 6)安全な管理、健全な運営に職員全員が協力し、自分達の病院を作る姿勢
 紙数の都合で解説が言葉足らずですが、これらの実行に専心努力いたします。
 第2の企画は、医療機関の皆様を対象とする「仙台赤十字病院 診療のご案内」なる冊子の作成です。これは、本院の各診療科・センターの診療方針ならびに特徴的診療事項とその解説を編集したもので、医療機関の方々に本院をご理解、ご利用いただくためのものです。また、この冊子は、基本方針第1項の「特殊性ある診療能力」の解説版でもあります。
 第3の企画は、「医療安全管理室」の設置です。これまで、安全な医療遂行のために、MRM(メディカルリスクマネジメント)委員会が活動していましたが、今度は常設の組織として、副院長の室長、診療科部長の副室長とともに専任の看護師(看護副部長)を置き、院長室近くに設置しました。安全な医療のための情報収集・整理、各種対策の作成とその普及教育、そして、万が一医療事故が生じた場合は、当該部署とともに、或いは、それに代わって、迅速に患者様やご家族に、誠意に満ちた対応をすることを業務とします。
 新しい工夫を、78年間に亘る貴重な蓄積とともに運用し、仙台赤十字病院が、地域の財産として、地域とともに育つように、心を引き締めて運営に当たる所在でおります。今後とも、ご指導ご助言を下さいますよう、お願い申し上げます。
 (仙台赤十字病院創立78周年の日に)


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