診療科から
■胆石症について   第二外科部長 中川 国利 
1.胆石症とは
 胆石症とは、胆嚢、総胆管、肝内胆管に結石ができる病気であり、それぞれ胆嚢結石症、総胆管結石症、肝内結石症と病名がつけられています。しかし約9割の患者さんは、胆嚢にだけ結石が存在する胆嚢結石症例です。また胆石は組成から、コレステロール石と色素石に大きく分けられ、さらに色素石にはビリルビンカルシウム石と黒色石とがあります。最近の食生活の欧米化に伴い、コレステロール石による胆嚢結石症が増加しつつあります。
2.胆石症の症状
 主な症状は、右上腹部痛、発熱、吐気、黄疸です。しかし胆石を持っていても、8割前後の人はまったく症状がありません。また腹痛は食後に現れることが多く、とくに生卵や油っこい食品を食べた時に生じやすいです。なお腹痛は、重苦しい感じや違和感のことが多く、激痛の発作が生じることは稀です。ただ胆石が詰まり、急性炎症を起こした場合には、発熱、黄疸、肝機能障害なども生じ、急性膵炎や敗血症などの重篤な状態になることがあります。
3.胆石症の診断
 よく行われる検査は、腹部超音波検査(エコー検査)です。おなかにゼリーを塗り、体外から超音波を発信して検査するため、痛みや障害がまったくありません。その他には、造影剤を注射してX線撮影を行う胆道造影検査(DIC検査)やCT検査(DIC-CT検査)などがあります。
4.胆石症の治療
 手術をしない方法としては、内服薬で胆石を溶解する治療法や体外からの衝撃波で破砕する治療法があります。しかし全体の1割の患者さんにしか有効ではなく、また再発する可能性があります。したがって根本的治療として、胆嚢を摘出する手術が行われています。
手術方法として、かつてはおなかを大きく開けて胆嚢を摘出していました。しかし10年程前から、主に内視鏡(腹腔鏡)を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われています。開腹手術と異なり小さな創で手術を行うため、患者さんの受ける障害は少なく、早期の退院や社会復帰が可能となりました。
5.手術の適応
 胆石が見つかっても症状がなければ、基本的には手術を受ける必要はありません。しかし症状がある場合や無症状でも糖尿病の患者さんは、炎症が生じると手術が困難になるため、早期の手術が望まれます。また10mmを越える胆嚢腫瘍がある患者さんにも、がんの危険性があるため手術をお勧めしています。
6.手術の手順
 手術を望まれる患者さんには、外来で全身麻酔を行うための術前検査、およびエコー検査とDIC−CT検査を行います。そして手術前日に入院していただき、術前処置を行います。手術は全身麻酔で行い、手術に要する時間は30分前後です。手術当日は安静を要しますが、翌朝からは水を飲み、トイレに歩行できます。さらに昼からは食事を開始し、通常は術後4日目に退院します。術後7日目に外来を受診していただき、創の糸を抜きます。以後は通常の生活を送ることができ、症状が無ければ来院する必要はありません。
7.当病院での成績
 私達は2002年6月までに、肝内結石症を除くほぼ全ての胆石症例2090例に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行いました。手術件数は、全国でも5番以内に入る多さです。また炎症や癒着などで腹腔鏡下手術ができずに、やむを得ず開腹手術へ移行した患者さんは67例(2.87%)であり、6%台の全国平均より良好な成績でした。
 また胆嚢腫瘍例217例に対して腹腔鏡下手術を行い、胆嚢癌症例は14例(6.5%)でした。
8.おわりに
 胆石症にてお悩みの患者さんがおられましたら、是非わたしたちの外科外来を受診され、ご相談いただければ幸いです。
腹腔鏡下胆嚢摘出症例(2338例)
年齢 14〜94歳
男性1039例:女性1299例
胆嚢結石症 2090例
   総胆管結石例 139例
   急性胆嚢炎例 217例
胆嚢腫瘍 217例
   胆嚢癌例 14例
1991年6月〜2002年6月

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