◆第59回<7月11日>
 医療事故防止策とリスクマネジメント
 弁護士(医師)児玉 安司
                                  (No.44:11/1号より)

  7月11日(木)、医師でもある 児玉安司弁護士を講師として招き、第59回医療集談会が開催されました。米国の医療安全対策・紛争対策の紹介や今後のリスクマネジメントの方向性等を、独自の視点で懇切、丁寧に解説されました。より良い医療を行うためには、医療事故防止に向けて最大限の努力が必要であることを、この日参加した200名近くの職員全員が、再確認した集談会となりました。

 
◆第60回<9月13日>
 生活習慣病をめぐる最近の話題  〜よい肥満と悪い肥満〜

                                健診部長 小竹 英俊
                                (No.44:11/1号より)

  近年、食事・生活習慣の急激な欧米化に伴い、体重増加いわゆる肥満に悩む方が増えてきています。特に最近は肥満の低年齢化が進んでおり、仙台市の学童検診では、昭和40年代には3〜4%に過ぎなかった肥満学童の割合がここ数年は13〜14%に激増しております。肥満は糖尿病・高血圧・高脂血症など生活習慣病の最大の原因であり、小学生ですでに高脂血症を呈する者は肥満学童の21%、脂肪肝を呈する者も26%を占めております。現在、日本人は長寿世界一を誇っておりますが、今日の子供たちが60〜70歳を迎える頃には、果たして長寿を誇っていられるのかはなはだ疑問です。
 肥満は生活習慣病の最大の原因ですが、肥満の中にも生活習慣病との関係の深い「悪い肥満」とあまり病気と関係のない「良い肥満」があります。肥満の分類法はいくつかありますが、こうした生活習慣病との関係でよく用いられる分類法は脂肪の付き方(分布)によるもので、「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」とに分類します。中年男性に多いお腹に脂肪が付くタイプが「内臓脂肪型肥満」、女性に多いお尻から下に脂肪が付くタイプが「皮下脂肪型肥満」です。この2つの肥満は同じ肥満でありながら、生活習慣病への関わりが全く異なります。最近の研究で、内臓脂肪はエネルギー貯蔵庫としての役目ばかりではなく、多くの物質(サイトカイン)を分泌する内分泌組織としての働きが明らかになってきました。内臓脂肪から分泌される物質の中に遊離脂肪酸とTNFαと呼ばれるものがあり、これらが生活習慣病を引き起こすことが判明したのです。したがって、「内臓脂肪型肥満」は生活習慣病と関連の深い「悪い肥満」であり、肥満解消のために最大の努力をしていただかなくてはなりません。いわゆる「かくれ肥満」もこの「内臓脂肪型肥満」の仲間です。一方、「皮下脂肪型肥満」は「よい肥満」ですから、格別気にする必要はありません。
 自分がどちらの肥満に該当するのか判断するにはどうしたら良いでしょうか?正確に診断するためには腹部CT写真を撮る必要がありますが、簡単に区別する方法としてはウエストとヒップを計測し、その比(ウエスト/ヒップ)を計算するやり方があります。この比が男性で1以上、女性で0.8以上あれば「内臓脂肪型肥満」が疑わしいということになります。もし健診などで「脂肪肝」の診断を受けていれば、その方も「内臓脂肪型肥満」の可能性が高いことになります。このように単に体重の軽重のみを気にするのではなく、脂肪の分布に注目することが大切です。



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