院長室だより

院長あいさつ

院長 北 純

今年の夏は例年より11 日も早く梅雨が明けたうえ、異常な猛暑に見舞われ、子供さんからお年寄りまで健康を損ねて受診される方が大勢おられました。9 月に入って、徐々に具合の悪い方は少なくなっておられるようで何よりです。

当院では高度急性期医療と地域の急性期医療、災害医療を当院が担う医療の重要な柱と考えております。7月に中国地方に起こった「平成30 年7月豪雨災害」では猛暑のせいもあって被災者も、また保健師などの支援者も精神的に参る方が多く、広島県の「こころのケア班」派遣の要請に応じ、日赤宮城県支部から呉市に6日間、4人(仙台日赤看護師2人、事務員1人、支部事務員1人)の「こころのケア班」を派遣しました。また9月6日未明に発生した「北海道胆振東部地震」では当日から16日まで救護班2隊を派遣した後、同16日からは日赤宮城県支部とともに「こころのケア班」4名を5日間派遣しました。また10月2日から7日間、1班を派遣する予定です。被災地の皆さんが落ち着いた日常を取り戻すにはかなりの期間が必要と思われますが、台風のシーズンも迫っておりますので被災された方々にこれ以上の災難が降りかからないことを願い、できる限りの支援を行いたいと思います。今年は自然災害が多く、職員の災害派遣が続いておりますが、病院の診療は他の職員の協力のもと、変わらず行っておりますので皆様には安心して受診していただきたいと思います。

当院では6月末から救急外科を新設し、救急患者さんに、特に事故、外傷、腹部疾患の患者さんにできるだけ迅速に対応できるよう体制をとりました。この効果があって、平日、夜間、休日の救急応需の数が大きく伸びて参りました。今後さらに多くの救急患者さんに対応できるよう、体制を整えて参ります。

東京の医科大学の入試に不正があったとされ、その中で女子の合格者数を少なく抑える目的で、女子受験生の得点を一律に減点していたとの報道がされています。その理由は女性医師が結婚や妊娠、出産により医療の現場を離れると、必要な医師数が足りなくなって医療が行えなくなるからというものでした。男女の機会均等、共同参画が唱えられている中で、あまりにも時代錯誤との意見が大勢を占めていますが、実は医療界全体がかなり古い労働環境のまま今日に至っています。医療、医学の進歩にともない医師をはじめとする医療従事者の労働量は飛躍的に増えました。この中で、特に医師は「診察、治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とする医師法の応召義務の考えに立って、自らを労働者とは異なるものと規定して診療に励んできました。そして社会も、行政も、病院もそれが当然のように考えてきました。しかし、国際的にみて日本の勤務医師の労働時間は異常に長いと言われており、また、診療科、病院、地域によって医師の偏在があり、時間外労働の増加の原因になっています。中でも医師が少ない東北、北海道の医師の時間外労働はかなり長くなっています。医師は労働者かという議論がありますが、さすがに最近の調査では、医師は労働者ではないという人は少なくなってきました。私は医療も生身の人間が行っていることなので、医師は労働者だと考えていますし、職員が心身ともに健康であることは皆様に良い医療を提供する上で重要と思っています。研修医を含む何人かの医師の過労死が明らかになり、政府が「働き方改革」を打ち出したこともあって、厚労省は来年の3 月までには「医師の働き方」についてある程度明確な制度をつくることにしています「医師の働き方改革」については医師の数を増やすか、医師の仕事を変わって行える職種をつくらなければ、現状を変えるのは難しいと思います。

昨年、院長になってから診療体制の改善とともに、職員の労働環境、ワークライフバランスの改善にも努めていますが、職員が健康でワークライフバランスを保ちつつ、良く学び、どこにも負けない医療を活発に実践できるようにしたいと考えております。皆様にも「医療従事者の働き方改革」の成り行きに注目していただけましたら有難く存じます。